20話 神託
神託
アミの後ろを追いかけて、4階層に着いたところ、
「グァアアアアア、儂は、いや、我は!」
マーズが苦しんでいた。今チャンスじゃない? と攻撃を仕掛けようとすると、
「少し待って」
アミが手を横に出して私たちを制止する。なんで? しかも、なんかキツネが肩に乗っている。真っ白だわカワイ!
「そうだ、我は百鬼夜行の主、ぬらりひょんじゃ。なぜこんなところに我はおる?」
「え、ぬらりひょん? マーズってぬらりひょんだったの?」
「マーズ? いや違う、我はぬらりひょん。百鬼夜行の主ぬらりひょんじゃ。妖怪のいなくなった世界に取り残されて……、そうじゃ、マーズの名に覚えがある。我は、願ったんじゃ。マーズに妖怪無きこの世界で、百鬼夜行の主に戻ることを、そこから記憶が無いんじゃ」
つまり、この男は偽物のマーズ? となると、本物がこの上にいるのかしら? するとアミが小さな声で、
「私が3秒数えたら、二人で階段に全火力を持って攻撃だよ」
二人とも頷いて、砲を構える。
「3」
足音が聞こえて来た。誰かが下りてくる。
「2」
何? この威圧感。この距離なのに鳥肌が立つ。
「1」
怖い怖い怖い! 今すぐにでも撃ちたい!
「0」
姿が見えた! え、少女? でも威圧感が凄過ぎて、もはや撃ちたくない。ひれ伏したい! でも、それでも! 撃たないと!
「ファイアー!」
「うーてーうーてー!」
二人で砲撃を開始。何発も何発も撃ち込む。
「物理攻撃のみ、防御はたやすい。それで、お主らは何者? 儂の影武者を洗脳から解き放ったようね」
赤、その印象を受けた。赤髪のツインテール、生気の感じられない赤の瞳。赤と黒のドレスに身をまとっている。身長は130cmもないかも? そんな感じの少女だった。右手には火縄銃を持っており、現在はその状態で、今は自由落下している様だ。そして足から着地に成功したみたい。
「なら、魔法攻撃でやるわよ!」
その言葉と共に天井がきしむ音。そして、天井が落ちた。
「あぶな! 死ぬかと思った! 死ぬかと思った!!」
そんな奈波の言葉と共に雛、奈波、光、皐文、一が落ちて来た。そして前にあった敵もいる。たしか名前は、
「アポロン!!」
「俺様を呼び捨てにするとはいい度胸だな……」
『皆、今すぐ、武器を全部出して、出来るだけ体外魔力を使わないものがいいよ』
皐文の声が頭に響く。つまり、念話ね。私たちは、
「機工装着! アンド武工装備!」
「サモンエッグ全召喚! 光、頼んだよ!」
「OK~行くよ~!」
皆が武器を出して、準備万端その瞬間。
「魔力吸収開始」
その言葉と共に空気が変わった。その言葉を聞いたのと同時に、私たちは、アポロンとマーズへの攻撃を開始する。砲撃、砲撃、砲撃! 防衛する暇も与えず、防衛する暇もない。ノーガードで一方的な攻撃を行っていた。
「何故だ、未来予想ができない何故だ!」
「理解不能。防壁が働かない」
え、これだけ攻撃しているのに、喋る元気があるの? なんで? 人間じゃないわね。
そうこうしているうちに、弾が切れた。なので、接近して、
「たたっ斬る!」
私は苦無を射出。それをマーズに刺して、接近する。装着している、戦車のエンジンを稼働させて、最速で突っ込んで! それに、雛も同時に動き出して、一緒に刀を構える。
「同時攻撃!
「うん、火成気、了解」
雛は先にジェットを利用して相手の上に飛んで、私は正面から斬りつける。
「「超高速攻撃! 火炎よ、交差せよ! 火成気!」」
あまりのスピードによって、刀に火が宿る。そして、アポロンに一撃を与えた。
「よし!」
「まだだ!」
どんだけしぶといのよ! けど、相手は打つ手がないはず! 魔力を吸収しているんだから。これなら……
「皆、話を聞きなさい」
戦闘が止まる。何? この神々しい声。本能で分かる。これは上位、いや、本物の神の声だと。何事? 皆も理解しているようね。みんなが戦闘をやめている。
「結論から言うと、世界の数を7以下に減らします。理由は世界の数が増え過ぎました、何個世界があるか分からない。それに、運営できない世界も増えています。だから、世界の容量を減らすために、いくつかの世界しか残せません。残す世界の選定方法ですが、7人の神を一か所に集めたらそれを合図にその世界を残します」
「な、何? 今のは……神? どういう事かしら? 世界を7つまで減らす? と、とりあえず、7人の神を集めないと……!」
でもそんな神なんてどこに……。と言うか今の声、神と信じてしまっているけど、本当なのか疑うことができない。
「落ち着け貴様ら。俺様がその神だ」
先ほどの激怒が嘘かのように落ち着いている、アポロンの声が聞こえた。さっきの話を聞いてなんでそんなに、落ち着いているのよ。って神なの? 確かに、アポロンって神の名前だけど、
「俺様や、ルー、義和、ヴィシュヌ、フワル、ラーはこの世界群を治める太陽神だ、皆、封印されている大陸の名を関連付けらえている。俺様の場合だと、アトランティスとかな。で、貴様らはあっているはずだ。義和とヴィシュヌにはな。そして俺様も今から貴様らに手を貸そう」
「そうなるのなら、儂も手を貸しましょう。私ことマーズには最後の太陽神に心当たりがあります」
「ん? 最後の太陽神?って、そっか。太陽神今の所、6人しか名前が挙がってないわね」
「アポロン、ルー、希和、ヴィシュヌ、フワル、ラーたしかにそうだね。でも、聞いた話だと、13年前ぐらいに、ラーは死んだはずだよだから、この世界群は詰んでるかも?」
奈波の言葉が本当だとすると、もうおしまいね。ああ、どうしてこんなことに、みんな顔が暗い。あれ? 皐文だけ考えている?
「ああ、そういう事だったんだ。大丈夫だよ。皆。それは神奈たちが何とかしてくれるよ」
「はあ? 死んだものを生き返らせるなど、神でも不可能だ! どうするつもりだ!」
「データリカバリーだってさ。僕も詳しくはわかってないけど」
「な、お前ら上の世界と交信したのか?」
「いや、行ったことがあるんだ。その時に、神奈がバックアップを取ったんだ」
「分かった。ならいけるだろう。まあがんばれよ。っとそうだ、そろそろ出てこい。フワル」
「あれ、バレてましたか~? まあバレるつもりできましたからね。いいでしょう」
何処からともなく声が響く。どこからかしら?
「貴様の悪意を抑える能力でしか俺様の悪意を止められんからな。まったく、どうしてここまで来た」
「いやぁ、この世界から異様な反応が見えたので」
「ああ、時間が」
「やっぱりそうですよね。なので、最初はアポロンたちに加勢しようと思ったのですが、状況が状況なので、私もあなたたちに協力しましょう」
「え、どうしてかしら?」
「簡単ですよ。世界を消されたら困るからですよ」
「分かったわ。なら二人とも太陽神の約束の場所があるんでしょ? そこに行ってもらっていいかしら?」
「ああ」
「了解っと」
こうして、機械世界での戦争は終わった。だけど、まだ、円卓機工は解散していない。そのことを頭に置きつつ次の世界へと旅立った。
人探しの戦闘機工 月読雨月 @yaten666
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