愛される

&α そして生まれる

「起きた。起きました。おはようございます」

「おはよう。どうしたの。まだ夜中だよ」

「妊娠する」

「え」

「予定」

「あ、ああ。びっくりした。何もしてないのに妊娠したらこわいよ」

「子供がね。夢に出てきたの」

「へえ。どんな子供だったの？」

「右目がない。左手がない。脚も動かない。知能にも異常がある」

「そっか」

「味噌汁かき混ぜてた」

「味噌汁」

「でもね。なんか、泣きながら。愛されたいって、言ってた。言ってたの」

「そっか。おいで」

「うん」

「愛せそう？」

「うん。どんな子供でも。わたしは、愛せる。自信がある」

「そっか」

「あなたは？」

「僕は、自信ないよ。ぜんぜん。そんな、悲しい境遇で、愛されたいなんて。ひどすぎる」

「じゃあ、やめる？」

「やめない。僕も愛せるように、努力するよ」

「うん。ありがとう」

「でも今日は僕眠いので、寝るから。眠いから。妊娠の件は、また後日で」

「あ、そうですか。わかりました。またのご利用をお待ちしております」

「おやすみなさい」

「おやすみなさい。愛してるわ」

「うん。愛してる」