お寺の住職と神社の神主さんの計らいで、幽霊の骨は掘り起こされて。


 骨の半分は、村の山のほうにあるお寺に置かれることになった。


 もう半分の骨は、工事の人が、護岸された川岸に埋めてくれた。


 おかげさまで。行動範囲が広がって、川岸だけじゃなくて、山のほう、村全体どこにでも化けて出れるようになった。


 護岸工事と河川保護工事が終わって、川岸には大きめで幅広のトラックが出来上がった。堤防の役割も兼ねているらしい。


 いつもの日常。


 川岸で、川を眺めて。たのしむ。


 その日常に、新しい楽しみが追加された。


 ランニングしたりサイクリングしたりする人を、眺める楽しみ。


 村のみんな。


 ありがとう。


 川岸の幽霊は、今日も元気に化けて出てます。






「おう。幽霊よう。魚が釣れたぞ。一緒に食おう」


「幽霊さん。一緒に遊ぼう?」


「幽霊さん。仲人になってくれませんか」


 あっ待って待って。順番におねがいします。順番に。

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川岸の幽霊 春嵐 @aiot3110

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