大統領選挙-part 2 、オクトーバーサプライズ

龍玄

大統領選挙-part 2、オクトーバーサプライズ

 「ぺス、パリズンはどうだった?」

 「メッキを剥せば、ファンタジーだらけの軽い人物でしたよ」

 「電気仕掛けの玩具のバイトとお花畑のパリズンか。国民はどこを見ているんだ」

 「残念ですがカードとバイトの是非ですね。国の未来など見ていないのが現実ですよ。国民にとって酷な選択ですよ」

 「その口にアメリカ産のステーキを目一杯詰め込みたいよ」

 「確かに噛み切れないで中々、胃には辿り着けそうにはないね」

 「分かっていれば、すんなり栄養になるような策を打て」

 「それはカードがバイトを論理的に叩きつぶすことですよ。論理的にね」

 「俺ほど論理的で攻撃的な男はいない。相手が理解する知能がないだけだ。だからイラつく。本ばかりに齧りついてきた奴に分かる訳がない」

 「自分で餌を探せないから、与えてくれる輩をご主人と崇めている。だから、そのご主人様を叩いているのでしょ」

 「悠長なことなどやっていられない」

 「焦っていませんか」

 「焦らせているのは、深く考えようとしない国民だろ」

 「口が滑ってもそのような事を言わないでくださいよ。協力している私たちまで危なくなりますからね」

 「なら、早く手を打て。明確に相手を打ち砕く策をな」

 「策なら用意し、進めていますよ、今は言えませんけどね」

 「何だそれは?」

 「まぁ、お楽しみにってことで」

 「私にも言えないのか?」

 「カードに言えば頭に血が上り、ポロリと言いかねませんからね」

 「そんなに信用がないか?」

 「だから、国民が迷っているのでしょう」

 「二枚目のステーキが欲しいようだな」

 「胃薬と下剤もね」

 「ポンプ、さっきから黙っているが何とか言え」


 カードとぺスの他愛無い会話を上の空で聞いていたポンプが口を開いた。


 「実りのない会話に付き合う程、暇じゃありません」

 「ポンプ、お前もステーキがいるようだな」

 「遠慮しておきますよ。それは中共を擁護する団体にプレゼントしてください」

 「ポンプ、分かっていないな。そんな事をすれば、薬品まみれにして姿を変えて国民の食卓に並ぶことになるだけだ」

 「カード、分かっているならそれを国民に伝えるべきでしょう。中共と共にする国をも含めてね」

 「ああ、やってやるさ。すべてを追い出してやる、勝利がこの手に入ればな。いまはわからずやたちの眼をどうにかして覚まさせることが先決だ」

 「カード、落ち着いて。私たちが焦っていないのが分からないのか。打つ手は打ってある。ステルスにね」

 「本当に私は、信用がないみたいだな」

 「それは違いますよ。悪路を突っ走るカードがいるから、その失態を目の当たりにしつつ私たちは冷静に対処できるのですよ」

 「私は当て馬か」

 「立派なね」

 「これできまったな。引退後は肉屋をやる。にっくき肉を刻みに刻んでハンバーグでも作って売る事にするよ」


 ぺスとポンプはお互いの顔を見合わせ笑顔で「お勝手に」と言い放った。その後、ポンプが続けた。

 

 「カード、あなたは世論が見えていない」

 「どう言うことだ」

 「今回の副大統領候補討論でぺスはよくやってくれましたよ」

 「当たり前だ」

 「今回の報道を見ましたか。共和党に辛口なメディアの中には、7対3でぺスへの指示が上回っていたものもあった。これが何を意味するかですよ」

 「どこのマスコミだ」

 「サンパスタですよ」

 「ましな奴もいたってことか」

 「そうですね、苦肉の策かも。一記者だけでなくデスクも認めたことが大きい。反感贔屓も真実の前には跪くしかないのです」

 「ああ、イラつかせる、マスコミの奴ら。いいところには目も向けず、悪い事ばかりを掘り下げ、でっち上げても国民の関心を得ようと躍起になっている」

 「まぁ、彼らも商売ですからね」

 「そんな商売、認めてなるか。覚悟しておくことだな、広告料を激減させてやる。そうなってから泣き付いてきても助けることなどしないからな」

 「それは、静かになって、いいかも知れませんね」

 「まぁ、いい話として受けておくか」

 「そうですよ、これがカードの取り扱い方だよ」

 「私は電化製品か」

 「いい所を抜き出し褒める、そして伸ばす。誤れば正せばいい。反論、異論を唱えることでマウントを取った気分になることは愚かなことですよ」

 「それは一理あるな。何も私は他人の言う事を聞かない訳ではない。どう間違っているのか納得させてくれればいい。聞く耳は持っているからな」

 「そうですね。それを最も理解してくれたのが安倍だった。共に前線で闘えなくなったと不安視していたが、それを受け継いだガースは信用できますよ」

 「ああ、胸を撫で下ろしているよ。日本もかなり中共に蝕まれているからな。勝利した後は自国の洗浄を推し進めると共に日本や関連国も足並みを揃えて貰わないといけないな」

 「そうですね。そうすれば少しは役立つマスコミになるやも知れませんね」

 「そうだといいんだが…。言論の自由を履き間違わないものにな」

 「言論の自由を履き間違わないスニーカーをメーカーに発注しますか」

 「それはいい、国費で研究させるか」

 「その為にも中共を叩き潰さないと、千人計画と言うスニーカーを格安で売られ、国民を洗脳されますからね」

 「処でぺス、日本の様に安倍の推し進めた事をガースが受け継ぎ、強化しているように君に引き継がれるのか心配だ」

 「しますよ」

 「じゃ、聞くがぺス。もし、もしもだ。この選挙に敗れることがあればどんな未来が待っていると思うのか?聞いておきたい」


 それを聞いていたポンプも同調した。


 「国民が興味を持つように、ハリウッド映画並みに簡単に」

 「そうしてくれるか」

 「では、バイトが勝利し暫くは、反中共の風は吹くが、経済的により豊かになるために中国への締め付けを緩めることに。国民感情も景気の上向きと共に中共バッシングはどこ吹く風に。その頃には各機関に再び中共工作員が入り込み、優位的に中国人の移住権、グリーンカードを手に入れさせ、各州に蔓延り、議席も確保し、アメリカを牛耳る。機密情報は筒抜けとなり、人材買いも激しさを増す。世界通貨に元が加わり、その地位は最上位に。ドル建ては元建てに。大統領も中共の思うままに。気が付けばアメリカは中共の支配下に。世界一優秀な民族としてこの地球を支配していく。

逆らう者は捉えられ、命を奪われるか有能な民族の為の臓器提供者にさせられる。発明は全て中共の元になり、ノーベル賞は独占される。中国語が世界共通語となり、文化も慣習、宗教も中共の思い描くものに書き換えられる。人種差別は強化され、中共の者かそうでない者に仕分けられ、逆らう者は告発者によって処罰され、戦争も紛争もデモない世界に。民衆は個別の成績を上げるため、盗作、賄賂などが日常に。有能な権利は国家に奪われる。民衆は新たな物を構築する意欲がなくなり、既存の物を喰い潰し、なくなれば奪い合う。そこはイナゴの襲来の後のように荒廃する。百年もしない内に下等な民族は食料の浪費の原因として粛清される。奴隷のように搾取されこき使われる民族と吸い上げ豊かな生活を謳歌する民族の二分化が進む。いまの上海市民族のように。そして幾つ着く先は荒廃の果ての滅亡。いや、こうなる前に、反中共勢力が核爆弾を自暴自棄になり放ち、滅亡することも十分にあり得る。子供じみた未来だがこれが現実となるのは想像に容易い」

 「確かにハルマゲドンだな。しかし、香港・台湾、チベットやウイグル自治区を見れば戯言ではないな」

 「そうです。現にWHOや国連などの国際機関にも弱小国を牛耳り、思うままに動かしている、それが現実ですよ。融資やインフラ整備で甘い汁を吸わせ、身動きできなくなれば全てを奪い取る。蜘蛛の巣に掛け、食い潰す、それが中共のやり方。我が国は大丈夫と油断しているとあっと言う間に乗っ取られる。それに気づいた国民が騒げば粛清されるだけ。その時初めてあの時にと後悔するのでしょうね」

 「そうだ、それを何故国民は気づかないんだ、馬鹿げている」

 「今、それを訴えれば、私たちが馬鹿げていると批判されるでしょうね。だからこそ、香港・台湾、チベットやウイグル自治区の実例を国民に分からせるのが必要なのです」

 「益々、バイト=中共の図式をアピールする必要があるな」

 「バイトファミリーの闇を炙り出すのも手だが手ぬるいな。バイトゲートか、進んでいるのか」

 「はい」

 「そうか」

 「本当に不利になれば公表しますよ。反論の余地を与えないギリギリの場面でね」

 「任せたぞ」


 カード、ぺス、ポンプの三者会談は激戦中の憩いの場となった。

 公務の為、席を外すぺスを見送ったポンプはカードに話しかけた。


 「カード、中共ウイルス感染の状況は如何ですか」

 「ああ、あまりよくないが打てる手は打った。入院して三日間は悪夢も見たがもう大丈夫だ。で、なければこの様な場を設けない」

 「そうですか。私もいつ感染しても可笑しくない。だからこそ、健康な今、出来ることを勢力的にやっていますよ。それで分かったことは、やはり対面で話し合うことの大事さです。イングランド、オーストラリアなど中共の影響を大きく受けていた国にも理解を得た。特に当初難色を示していたドイツの決断は参考になる。今と未来の損益を考えてのこと。まだ、国としてまともだったってこと。韓国とは比べ物にならない。それは慰安婦像で揉める必然性にも表れている。考え方の違いは火種を招く。それを韓国は気づかないのではなく、分からない。連帯からは除外すべき国であり、追いかける案件ではない、そう時間の無駄です。考え方がまともなら、未来の損益を考えられる。経済から目をそらせ、人権問題に重きを置いた、それが成果を得たと考えます。敵を明確にすることでしがらみを絶つ。願望や要求だけでは他は動かない。事実と今後を顕にすることで考えを変えられます。その為にも討論会は対面で行うことをお勧めします」

 「分かっている。しかし、今回の陽性反応で15日の二回目の討論会は危ういな。モニター討論会なら拒否もあり得る。マリオネットのバイトの有利に働くことは避けなければならない。対談であれば、予定通り無知さを露見させてやる、そのための前回だったからな」

 「パリズンの失態を踏み台にねじ伏せてやればいい、失言を引き出せば尚いい」

 「そうするさ、言われなくてもな」

 「それでこそ、カード」

 「心配なのは郵送投票だ。今の段階では、不正を明らかに出来ない。票が捏造されたり買われたりしても手の打ちようがない。無理をおしてもポンプの言う通り、対面に力を入れるさ。しかし、迷っている奴らに効果的な方法にはなりにくい。バイトに任せれば、いや任せられないと思わさなければ…」

 「国際社会はカードを支持している。外交面の有利さ、何故、指示されているのかを悩んでいる国民に訴えることが現職の強みですよ。それがどのように自分たちの日常に影響するか、国際社会が指示するのかを強くアピールしてください」

 「そうするさ、ポンプのようにな」

 「弱気は禁物ですよ。批判されようと強く突き進む姿こそ、弱弱しいバイトに勝てる印象操作に役立ちますからね」

 「批判も人気のひとつか。そう思うことにするか」

 「そうです。話題になってこその印象ですよ。一度指示を取り付ければ、イングランドように私たちが仕掛けないでも日本と組み中共と戦う姿勢を見せてくれるものです。強気のカードを貫いてください」

 「要は損得だよ、それを押し出していく。中共に奪われた雇用を取り戻し、国民に返す。利権も奪回する。中共関連に投資することが如何に愚かなことかを知らしめて資金源を断つ。それで奴らが動けば、追い風になるからな」

 「中共ウイルスの拡散は、ぺスがパリズンを論破して効果を得ている。カードもWHOの失態を糧に国際機関の脆弱さを訴え、それを炙り出した今、改善できるのもカードであり、それが強国である証だとアピールすることですよ」

 「良くも悪くも旗を大きく振る者に人は集まる。風を起こして逆境を乗り越えて見せるさ」

 「そうですとも。決めかけている者は徹底して孤立させることです。自分の選択が如何に間違っているかを悟らせるためにね。韓国がいい例ですよ。寄りかかる木を間違えればどんな末路が待っているか思い知らせることも忘れてはいけません。ゴリゴリの民主支持者など無視でいい。グレーゾーンに期待と希望を。不安と失望を与えることで票を獲得することです。中共ウイルスが猛威を振るっている現状は我らに不利に働いている否めない。しかし、外交を通して今でなく未来に目を向かせられれば考えも変わるものです。私はそれを実感しましたよ」

 「強いアメリカの姿を民衆に見せつけることで、希望を与える訳か」

 「そうです。様々なストレスが入り交じって反カードになっている部分は、希望の持てる未来の姿を見せつけることで払拭すれば効果はあるはずですよ」

 「そうだな」

 「その意気で次なる戦いに挑みましょう」

 「ああ、今後も頼むぞ」



 

 



 

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