第5話 恋愛推理

「よし、決めた」

―――私も彼に告白をしよう。


 8畳の部屋の真ん中でパジャマ姿で決心した。


 きっかけは愛莉ちゃんだ。彼女の恋する姿が眩しく、羨ましく見えた。そして、彼にどんなの本を紹介しようか、彼について考える時間が増えた結果、今に至る。


「でもなぁ~、振られるのも怖いし、もう来なくなったら・・・」

 私は彼を見ているだけでも、幸せな気持ちになれる。そして、彼が受付に本を借りに来るのをいつも楽しみにしていた。それが失われるのは避けたいし、お互いが気まずい思いになるのも嫌だ。


「本を貸して、そこにラブレターを入れておこうかな。私の連絡先ですって、あ~ダメダメ。あっ、その手紙に私の気持ちはこの本の通りですとかにして・・・」

 私は自分の恋愛偏差値の低さにため息をつく。


「やっぱり、辞めようかな。どうせ私なんかじゃ無理だし・・・」

 彼の顔、そして『橘さん』と言った声を思い出す。すると、気持ちが込み上げてくるのを感じる。この想いはもう―――


「神谷君は推理小説が・・・あっ」

 私は閃いた。ずるい大人の方法を。

「私に興味があれば気づいて、ただの本にしか興味がなければ気づかない告白を考えれば、いいんじゃない!?」

 私は決めた。深夜のノリだったかもしれないが、我ながらグッドアイデアだと思った。

「そうすると・・・」

 私はスマホをいじった。

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