第162話 安倍水穂と倉橋恭也

「コノ、オモイデノツマッタイエハワタサナイゾ! ヨソモノハデテイケ!」


「あのさぁ、あんたが悪霊になっていつまでも居座っているから、息子さんや娘さんやお孫さんたちが困っているのよ。セクハラ意地悪舅は、早くあの世に行きなさいな」


「コムスメノクセニナマイキナ! ワシノカラダデワカラセテヤル!」


「言い方が厭らしいわね。これだから、昭和の骨董品ジジイはさぁ……」


「オンナハ、タタイテワカラセルニカギル。シツケテヤル!」


「キモイから近寄らないで。このお札でいいか。五千円のだけど、こいつにはこれで十分ね。えいっ!」


「カッ、カラダガアツイ! ワシハマダ……」


「死んだら素直にあの世に行きなさいよ。本当、老害って悪霊になっても迷惑よね」


「クソォーーー! ワシノイウコトヲキィーーー!」


「はい、除霊完了」




 まだ始めたばかりの除霊だけど、順調に強くなっていると思う。

 私は有名な安倍一族に生まれたけど、つい最近まで霊力がなかった。

 母と兄にも霊力がなかったのと、私の亡くなったお父さんはかの有名な安倍清明、安倍一族の当主だったので、周囲からの風当たりはそれは強かったものだ。

 母も兄もそのせいで大分歪んでしまって、お父さんとの関係も微妙だった。

 私も決してお父さんとの関係が良好と思われておらず、でも安倍一族のせいでお父さんは好きだった女性と結婚できず、母と政略結婚するしかなかったから仕方がないのかも。

 しかも、そこまで己を殺したのに、母から生まれた私と兄にはまったく霊力がなく、なぜか結婚できなかった本当に好きだった女性との間に生まれた異母姉には霊力があって、結局安倍一族の除霊師として活動しているのだから、お父さんとしても安倍一族に対して色々と思うところがあったんじゃないかしら。

 でも、不思議なのよね。

 元々母には霊力がなかったのに、どうしてお父さんと政略結婚したのかしら?

 生まれてくる子供に、霊力が出ない可能性の方が高かったのに……。

 そういう訳のわからないことしてるから、安倍一族は衰退の一途を辿ってしまうのよ。


「水穂、こいつは下級でも怨体ではなく悪霊だぞ。よく日本除霊師協会公認の一番安いお札で除霊できるな。しかもそのお札、広瀬裕が作った高品質品じゃないのに」


「あっ、これ。お父さんの形見なんだ」


 お札や、今私が着ている巫女服は、亡くなったお父さんが私に残してくれたものだ。

 当時は霊力がなかった私なのに、お父さんの遺品を整理していたら、なぜか私あてに残されていたのよね。

 お父さんは、将来私が霊力に目覚めることがわかっていたのかしら?

 しかもお札と装備が残されていたのは私だけで、母と兄の分はなかったし、二人は私への遺品にまったく興味を示さなかったから、今こうしてありがたく使わせてもらっている。

 あの二人は、お金にしか興味がないから。


「形見を使っていいのか?」


「お札は使うものじゃないの? 第一、お父さんが書いたお札じゃないから」


「まあそうなんだけどな。安倍清明がお札を書けたなんて話は聞いたことがない」


 母と兄はお父さんを憎んでいたけど、私はそうでもないというか。

 私はまだ母の被保護者である未成年であり、家の中で穏便に過ごすには彼女と意見を合わせる必要があった。

 お父さんを嫌う演技も、家の中で穏便に過ごすには必要だったというわけ。

 兄は世間でいうところのヤンキー、不良、DQNなので、彼と言い争ったところでろくな目に遭わないはず。

 お父さんもそれを承知していたみたいで、私は外でお父さんと会うことが多かった。

 お父さんは安倍家の当主で忙しい人だったので、たまに外食に連れて行ってもらったり、一緒に買い物をして欲しいものを買ってもらったりしていたのを思い出す。

 私はこんな感じの人間なので、他人から見たら大分冷めた親子に見えるはずだけど、お父さんが亡くなった時は人並に泣いたものだ。

 母と兄は、お父さんの遺産にしか興味がなかったけど。

 二人は、異母姉がお父さんが愛用していた霊器『髪穴』を相続したことに激高していたけど、母も兄も除霊師ではないから、ただ資産価値が高い霊器を奪われたことが気に食わないだけだ。

 弁護士を雇って、異母姉から霊器を取り戻すなどと息巻いていたけど、すぐに安倍一族から止められた。

 法律では母と兄の言い分は正しいけど、除霊師としては間違っているからだ。

 除霊師でもない母と兄が高性能な霊器を手に入れたところで、どうせ使いこなせないし、金に目が眩んで売り飛ばしてしまうだけ。

 安倍一族に属している異母姉の霊器が、同じ安倍一族の人間によって外部に売り飛ばされてしまったら、業界内で安倍一族の評価はガタ落ちだ。

『安倍一族には、自分が使えもしない霊器をちゃんと使いこなしている同じ一族の除霊師から奪い取り、金目当てに外部に売り飛ばす愚か者がいる。そりゃあ、衰退するわけだ』と噂され、評判を落とすだけなのだから。


「しかしまぁ、わずか二週間でここまで霊力が増えるものかね。俺たちは除霊師学校の主席五人組とか持ち上げられてはいるが、広瀬裕たちの本当の実力を隠すための道化なのによ」


「恭也たちはちゃんと除霊はしているし、若手ではトップクラスの実力があるんでしょう? それに、校内の可愛い女の子たちに『キャーキャー』言われて嬉しくないの?」


「冗談じゃない。学校は推しアイドルのコンサート会場じゃないんだぞ」


「大変ね。 安倍一族とは距離を置く分家、倉橋家の次期当主恭也様も」


「様なんて呼ぶな。気持ち悪い」


「じゃあ、恭也」


「俺は一応年上なんだけどな。まあいいけど。せっかく手に入れた霊力で除霊師を目指すよりも、俺たちに嫁入りすればセレブになれると勘違いしているような女子たちはどうでもいい。除霊師学校は、結婚相談所じゃないってのによ。俺たちに黄色い歓声を送っている女子たちよりも、すでに水穂の方が実力は圧倒的に上だろうな」


「そんなものなんだ。私はあと二年経たないと、除霊師学校に入学できないのに」


「放課後の除霊講習を受ければいいだろう」


「私はパスかな」


 除霊師学校にはあの人がいる。

 私の異母姉である、清水涼子が。

 私は別になんとも思っていないけど、直接顔を合わせない方が幸せというものよ。


「恭也が私に教えてよ」


「俺も学生だってのに。まあ、教えられる範囲内ならな。しかし、お前のお札を使う腕は大したものだ」


「そうなの? 『よく燃える』ってイメージはあるのよ」


 お札は、そのお札自体の力と、使用時に込められる限界霊力量が決まっている。

 だから、日本除霊師協会が販売する五千円のお札だと、怨体の浄化が限界だと聞いた。

 私は五千円のお札で下級ながら悪霊を除霊できるから、他の除霊師よりも燃費がいいみたいね。


「羨ましいスキルだな。さすがの清水涼子も予想外だろうぜ」


「恭也は、あの人みたいな女性が好みなのかしら?」


「別に。深窓の令嬢って感じだから、校内の男子には人気があるけどな」


 偶々偶然だけど、私は安倍一族と距離を置く倉橋家の跡継ぎである恭也と縁があった。

 いわゆる幼馴染ってやつ?

 でも、母と兄は私が恭也と仲良くするのを嫌がるから、二人に隠れて会うことが多かった。

 あの二人に言わせると、倉橋家は分家で二流らしいから。

 本当、親子してよく似ているというか……。

 一回も除霊したことがないのに、どうして上から目線で倉橋家にそこまで言えるのかしら。

 そりゃあ、お父さんから嫌われるわよ。

 お父さんには罪悪感があったのか、私たちをお金では不自由させなかったけど、母と兄のお金の使い方がだらしなくなるだけで、なに一ついいことはなかった。

 今も、せっかく目覚めた霊力を鍛えることもせず、ろくでもないことに大金を投じている。

 『バカは死ななきゃ治らない』の最もわかりやすい例ね。


「恭也、知ってる? 母は、私と広瀬裕を結婚させて、安倍一族を裏から支配したいみたいよ」


「もし本当にそれができたら可能かもな。だが、広瀬裕がそんな条件を受け入れるわけがない。大体彼の周りには、清水涼子を始めとして美少女除霊師たちが囲んでいて手が出せないんだがな」


「あの人もなんだ……」


 清水涼子って、見た目ではそういうイメージないけど。

 クールで男性を寄せ付けなさそう。


「広瀬裕ほどの実力があれば、安倍一族次期当主最有力候補とも目される清水涼子も落とせるんだろうな」


「そんな話があるんだ」


「左前の組織や家にはよくあることさ。安倍一族の立て直しに懸命な柊執行部長の苦労も知らず、すでに超一流の除霊師である清水涼子を当主に据えたい一族もいるってことさ。彼女はもうすでに、安倍一族から離脱しているのに等しいというのに……」


 色々とあって、彼女が倉橋家のように安倍一族と距離を置いている話は聞いたことがあった。

 彼女自身は決してそれを公言せず、一応安倍一族に籍は置いてはいるけど。

 安倍一族としても、清水涼子に堂々と抜けると言われると困るから、籍だけは置いてもらい、行動の自由を認めているようね。


「誰も彼も、自分はなにもしないで、他人を利用して利益を得ようと懸命なのね」


 母と兄以外も、安倍一族には残念な人が多すぎるわね。


「そうだな」


「母と兄がろくでもないことをしないといいけど」


「もうしているぞ。清水涼子の暗殺を目論んで呪術師を大量に雇ったら、返り討ちに遭って大金だけ失ったそうだ。呪術師たちも一年以上仕事ができなくなった」


「もう呆れるしかないわね」


 このところ家に帰っていなかったから知らなかったけど、まさかあの人の殺害を計画していたなんて……。


「これで、ますます家に帰れなくなってしまったわ」


 あの二人が勝手に自滅するのは構わないけど、私を巻き込んでほしくないわ。


「恭也、今日も泊めてよ」


「いいけど、お前も一応年頃なんだから少しは警戒しろよ」


「えーーー、恭也は私に興味あるんだ。へえ、そうなんだ」


「……。 まあ、部屋は余っているからいいけどよ」


 恭也は除霊師学校に通うため、戸高市内のマンションを借りて一人暮らしをしている。

 そのマンションが、一人暮らしにしてはとても広いのよ。

 さすがはお金持ちの倉橋家ね。


「ありがとう、恭也って優しい」


「さすがに、犯罪者が二人もいる家に帰せないからな」


「母も兄も、お金がないわけじゃないんだから、大人しくしてればいいのに」


「それができないから、残念な人たちなんだろう。さすがにもう柊執行部長も、日本除霊師協会会長も、菅木議員も黙っちゃいないだろう。あの二人は破滅だな」


 実の母と兄ながら、もう呆れるしかない。

 世間には、『それでも実の母親と兄なんだから助けるべき!』なんて無責任に言う人もいるけど、じゃあ自分がやってみろって話。

 私は二人と縁を切って、除霊師として自立させてもらうわ。


「恭也、夕食はなにを食べたい?」


「別になんでもいいよ」


「そういうのが一番困るのよ。まあいいわ。戸高支部に寄ってから、適当に買い物して帰るから」


 除霊終了報告をしてから、報酬を貰わないとね。

 これで、恭也になにか美味しい料理でも作ってあげましょう。

 うちは母が全然料理をしないから、自然と覚えてしまったのよね。


「俺は先に家に帰って、部屋の掃除でもするかな」


「いい心がけよ。エッチな本も隠さないとね」


「エッチな本って……。昭和かよ」


「今は動画か」


「年頃の男子に深く追求するなよ。じゃあ、俺は家に戻るから」


「恭也、除霊につき合ってくれてありがとう。夕食は期待していてね」


 私の家庭環境は複雑だけど、それでも恭也がいたから救われた部分もある。

 でも恭也って、清水涼子に興味があるのかしら?

 恭也と彼女が結婚すれば、安倍一族の支配も可能で……これは考えすぎよね。

 今日は、恭也の好きなハンバーグでも作ってあげましょう。






「……ケッ! これだから リア充はよ! あーーーあ、戸高市に隕石でも落ちてこないかな?」


「竜神様が言うには、すでに戸高市を中心とした五芒星の聖域は完全復活し、今は強化される一方なので、戸高市に隕石が落ちてくることは絶対にあり得ないそうです」


「裕、いくら担任教師とはいえ、わざわざバカ真面目に答える必要はないと思うぞ。しかし、悪霊に理解があっても、世間の男女関係に理解がないとは。不思議な教師よな」


「非モテを拗らせているのでしょうね」


「清水の嬢ちゃんも容赦ないの」


 涼子の傍を離れなくなって半月ほどが経った。

 放課後にまた第四会議室に向かうと、先に待っていた菅木議員が、涼子の異母妹である安倍 水穂の様子を話してくれた。

 しかしまぁ、そんなラブコメっぽい会話の一部始終まですべて教えてくれなくても。

 そうでなくても、こういうのは中村先生には毒なのに。


「涼子の異母妹かぁ。才能あったんだな」


「みたいね。でも、これがなかなか難しい関係なのよ。私は、なるべく関わり合いにならない方がお互いのためだと思って、距離を置いているのだけど……。向こうも同じ風に考えていたのね」


「そうだな。他人からはそう簡単にあれこれ言えないよ」


 『家族だから仲良く』なんて、言い方は悪いがその辺の子供でも言えるのだ。

 だがすでに、安倍文子と清次は処分されることが決まった。

 今から涼子が安倍文子たちに手を差し伸べても、ろくなことにならないのだから。


「しかし、安倍水穂と倉橋恭也ねぇ……」


 俺と久美子みたいな関係なのかな。

 どうやら安倍水穂は、俺に興味がないようなので助かった。

 倉橋恭也も、校内でキャーキャー言ってる女子には一ミリも興味なさそうだったからなぁ……。

 そんなそっけない態度がステキだって、目をハートマークにしている女子も多かったから、イケメンは人生が圧倒的に有利になる証拠でもあったけど。


「倉橋恭也! 女子中学生と不純異性交遊とは、なんとけしからん!」


「菅木の爺さん、どうして中村先生なんて呼んだんだ?」


「安倍文子と清次を処罰したあとの話だ。安倍水穂の除霊学校入学まで、放課後の講義に参加させて面倒を見る。なにしろあの才能だからな。お札の威力が増す除霊師というのは素晴らしい」


 今の時代、エコな能力は重宝されるからな。

 安いお札で大きな成果を出してしまうのだから。


「極たまにいるな、そういう除霊師」


 同じ品質のお札と同じ量の霊力を使っても、燃焼効率が高い人ってのはいるんだ。

 向こうの世界にもいたのを思い出す。


「ただ、そういう人はお札代を節約しようとするあまり、 やりすぎてたまに死んでしまうんだよ」


 このくらいでも十分に除霊できるはずだと、お札や霊力をケチッて悪霊を除霊しきれず、反撃を食らって死んでしまう。

 そんなことがあるので、使い方には要注意なスキルであったが。


「だからその辺の教育をしたい。実質倉橋家の庇護下に入っているから、それほど心配はしていないが」


「安倍水穂は、倉橋恭也と結婚すればいいのに」


「将来そうなるにしても、外戚として安倍文子と清次が倉橋家に口を出してきたら、ついに倉橋家の堪忍袋の緒が切れて、安倍一族と戦争になってしまう。柊執行部長も、その前にあの二人を処分したいのだろうな」


「処分ねぇ……。でもどうやって? 呪術師を使って涼子を殺そうとした件でブタ箱にぶち込むのは難しいぜ」


 警察は、呪いの存在なんて公的に認めていないからな。

 そんなものを認めると、いくらでも罪を捏造できてしまうからだ。

 他人を罵るのだって、広義の意味で言えば呪いと同じなのだから。

 別件で逮捕しても……逮捕できるか?


「なかなかに難しいところだが、すでに柊執行部長は日本除霊師協会と主な除霊師一族に回状を回しておるよ。安倍一族と安倍文子、清次とはなんの関係もないし、いくら霊力があっても関わることをお勧めしないとな」


「随分と弱い処罰ね。その気になれば、個人の除霊師としてなら動けるじゃないの」


 涼子の言うとおりで、結局二人をブタ箱にぶち込んだり、個人の除霊師としての活動は阻止できない。

 だが、日本除霊師協会のブラックリストに載ってしまったので、そのサポートを受けられなくなる。

 当然お札も買えないので、除霊師としては実質もう終わったようなものだな。

 まだ除霊師としては、一度も活動していないみたいだけど。

 ただ、今後二人が除霊師を名乗って詐欺的な行為を働くかもしれない。

 その被害に遭わないよう、注意を促すための回状なんだが、一般人には知らされないので苦しいところだ。


「まさか、どこかに幽閉するわけにもいかないのでな」


 菅木議員はできる限りのことをしたと思うが、ここまでが限界といった感じか。


「清次の方はかなり性質の悪い不良での。半グレ組織との繋がりもあるから、いざという時は処罰もしやすいと思う」


「この前、涼子を攫おうとした連中か。あいつらは黒幕を吐いたのか?」


「いや、思った以上に口が硬くて困っておる」


「駄目じゃん」


 とはいえ、まさか拷問するわけにもいかないからな。

 向こうの世界じゃないんだから。


「連中が未成年なので、手を貸す弁護士が多くてな。あまり無茶もできないのさ」


 更生……連中がするのかね?

 もし向こうの世界だったら、呪術師を使って他人を呪い殺そうとした人は容赦なく牢屋にぶち込まれ、処刑されてしまうケースも多い。

 権力者は見逃されがちだけど、日本にも上級国民とかいるからな。

 呪術師なんて、主にそういう連中が使うのだから。


「とにかく。安倍文子と清次は安倍一族ではなくなった。ただの安倍さんだ。そうなると呪術師を雇うのも難しくなる。清水の嬢ちゃんは安全だろう」


「だといいけど」


「心配なのか? 裕」


「ええ、だってあいつらバカじゃないですか。バカって、たまに斜め下の行動をするから」


「そうね。裕君にはもう少し私を付きっきりで護衛してもらわないと」


 そう言うと、涼子は俺と腕を組んだ。

 近くにいる中村先生の歯がギシギシいっている。


「それで、肝心の安倍文子と清次はどこにいるんだ?」


「今頃、柊隆一から引導を渡されているのではないか? そのあとは、お金を持っているがなんの力もないオバサンと不良だ。落ちぶれる未来しか想像できぬの」


 しつこく涼子を呪い殺そうとした犯人にしては、えらくあっけない幕切れというか……。

 まさか向こうの世界のように、なにかが起こる前に対処するということもできないので、なかなかに厳しい。

 それでも安倍一族から追放されたので、ダメージは大きいのかな。

 自業自得としか思えないから、同情はできないけど。


「思えないが……」


「裕君? なにか気になるの?」


「ちょっと嫌な予感がするような……。勘でしかないけど」


 なんだろう?

 この嫌な予感は。

 でもその原因がなんなのかわからず、なにも手を打たなかったせいで、まさかあれほどの大事件が起こってしまうとは……。

 今の時点では、予想だにできなかったのであった。

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