隣人～同じ敷地内の君に～

第8話 想い

ある日の休日の事だった。

「蓮霞ーー、聞いてーーっ！」

カチャ

ドアが開く。

「うわっ！」

ドサッ

床に倒れる二人の姿。

「玲、いるーーー？」と、私。

カチャ

ドアを開けると床に倒れている果緒瑠と玲の姿。

「えっ？」

「うわっ！ち、違……」

「えっ！？ あれ？ 蓮…霞…？」

私は部屋を飛び出した。

「あっ！ おいっ！ 蓮霞っ！ 待っ…誤解っ！」

「ご、ごめんなさい！ 私…蓮霞の部屋と思って……」

「いや……別に良い……いやっ！ 良くねーよっ！」

「本当にごめんなさいっ！」

部屋を飛び出す女の子の姿。

「つーか……今の……果緒瑠……ちゃん？ 一瞬だったから分からなかったけど……」

私は近くの公園にいた。

誤解だという事は分かっていた。

果緒瑠から、今から来るって言われていたからだ。

偶々、部屋を間違えたんだって事は十分承知でいたけど、あの光景を目の当たりにしたのでは心の整理がつかないし、分かっているんだけど突然の出来事過ぎて…………

♪～

『蓮霞、さっきの誤解だからねっ！ 私が部屋間違っちゃって本当ごめんっ！』

果緒瑠からの速攻メール。

「果緒瑠」

私は部屋に戻る事にした。

すると、私の部屋のドアの前に人影。

「…玲…何して……」

「いや……誤解解こうと思って…」

「えっ？」

「さっきの誤解だから！」

「玲…大丈夫だよ。さっき果緒瑠からも誤解って連絡きたから」

「そっか…」

「だから大丈夫。取り合えず果緒瑠と会って来るね！」

「ああ。蓮霞」

「何？」

グイッと引き寄せ抱きしめた。

ドキン

「玲…？」

「前に…お前が俺に眼鏡かけていない私が良いんだよね？って尋ねたじゃん」

「うん…」

「今、関係ねーから！」

ドキッ

「えっ！？」

「眼鏡かけてても、かけてなくても……俺…お前自身が好きだから」

ドキン

「…玲…」

「だから俺との事マジ(本気)で考えてもらって良いから。いや、むしろ考えて欲しいっ！」

「分かった……取り合えず準備して果緒瑠と会って来るね。気にしてるみたいだし」

「ああ」

私達は別れる。

別れ際、玲はキスをした。

「行ってらっしゃい」

「行って来ます」

「蓮霞…」

「何？」

「俺もデートしたい！」

ドキッ

「えっ？ そのうちね」

「そのうちっていつだよ…！」

「さあ…いつだろうね」

私達は各々部屋に入った。

私は出掛ける準備をし、果緒瑠と会う約束をした。

次の日。

「おはよう、蓮霞」

「おはよう、玲」

「なあ、蓮霞、お願いがあるんだけど」

「お願い？ 何？」

「朝はともかくとして帰りだけでも一緒に帰る事出来ねー？」

「えっ？」

「いや……やっぱ……俺的には一緒に登下校したいんだけどさ、その容姿だと目つけられる訳じゃん？ １日中、その容姿がお前的には良いんだろうけど……」

「まあ……」

「だからといって、その姿じゃないお前は目立つわけで俺的には嫌なわけ」

「……玲…」

「お前、どっちが良い？」

「えっ？」

「今の容姿か、もう一つの容姿か……」

「私は勿論、今の方が良いよ。でも……一緒に登下校出来ないし、だったらもう一つの容姿が良いのかな？って思うけど……」

「そっか…」

エレベーターが止まり私達は別々に行く。

その日の放課後。

玲が元カノといる所を目撃した。

私は複雑な気分になる中、胸も痛かった。

その日の夜。

「蓮霞いる？」

カチャ

ドアを開ける。

「玲？ どうしたの？」

「今日、元カノにお前の事を話したらありのままで登校させたら？ って」

「…そっか」

取り合えず玲を部屋に入れた。

「でも…お前眼鏡かけての登校が良いだろうし…それにありのままだったら登下校は一緒だけど……正直俺的には……」

「嫌なの？」

「当たり前だろう？ 前と違って俺の想いはお前が好きなんだから逆に不安が……」

「玲…じゃあ彼女と会っていたのはそういう事だったんだ……」

「えっ？」

「偶々二人でいる所見掛けたから…私…嫉妬してたから」

「蓮霞…？ それって…俺との事本気で付き合ってくれるって事？」

「…良いよ。…私…玲が好きだから…」

「蓮霞…マジ嬉しいんだけど」

「私の傍にいてね？ 玲」

「絶対裏切らない。お前嫌な思いしてるからな？」

「うん…」

私達はキスをした。

「これからも宜しくな。蓮霞」

「うん」