第7話 決行
私は、建物の中に入って行く。
「お嬢様っ!」
「神崎っ!」
私は神崎の元に行こうとした。
グイッと引き止められる。
「きゃあっ! ちょ、ちょっと麻那斗!何?離してっ!」
そう言う私の側で、神崎に銃口を向けている麻那斗の姿。
「ちょっと! 麻那斗 、神崎に銃口向けるのは辞めて!」
「向けたくて向けているんじゃないっ! おいっ!神崎と言ったな? 説明してもらおう。今、どういう状況なんだ? コイツの父親は何処だ?」
「先に逃がしました」
「逃がしただと? 何かあったらどうするんだ?」
「向こうから交換条件を出してきたんです! 旦那様を逃す変わりにお前の命とデーターを引き換えだと」
「命を引き換えって……駄目だよ! 神崎は一緒に戻るの!」
「お前は信じたのか? 奴等が、コイツの父親を生きて返すと思うのか?」
「信じたわけではありません!しかしデーターは既に、お嬢様が持っています。私はお嬢様を連れて来るように命じられています!」
「………………」
私を押し離す麻那斗。
「麻那斗?」
「行けっ! 二人とも。こっちの計画も進めていく。お前らは死ぬ訳にはいかない! 必ず生きて帰ってこい!」
「麻那斗……」
「鹿賀さん」
「健闘を祈る!」
私達は二手に別れた。
「お嬢様、一緒に来て頂けますか?」
私は頷いた。
私は神崎に連れられるまま、とある部屋に連れて来られた。
「君の父親を逃がしたのは痛いが、まあ、そこにいる神崎とやらの命と引き換えだ。データーを渡してもらおう」
神崎は相手に両手を掴まれ身動きがとれないでいた。
私はデーターを渡す。
「確認しろ!」
「はい!」
「どうやら本物のようだな」
「はい、間違いありません」
次の瞬間 ――――
ドーーーン……
爆発音がし建物が揺れた。
「な、何だ?」
ドサッ
両手を掴まれていた神崎は、二人を倒し、その相手から拳銃を奪う。
ズキューン……
ズキューン……
ズキューン……
相手が怯んだ隙にデーターを確認している相手と、
上司 = ボス にあたると思われる相手と、
その付き人と思われる相手に、両手に持っていた拳銃で3人に銃弾を撃つ神崎。
神崎はデーターを取り返す。
「野……郎……っ……!」
ドカッ
「うっ……!」
ドサッ
神崎は、すぐに倒す。
「あなた達の事だ。私達の知らない仕掛けがある事位は詠めています! 建物は崩壊し私達を殺す事も!」
「………………」
「私は自分の命を変えてでも…邑岐家もお嬢様もお守りしますっ! それは執事である私の役目です」
ドキン…
「…神崎…」
「お前……っ…!」
「…野郎…っ!」
ドーーーン…
再び建物が連続で爆発した。
建物は大きく揺れ、バランスを崩す私。
「きゃあっ!」
ドサッ
床に転倒する私。
その直後、窓硝子が割れる音が聞こえる。
「お嬢様っ!」
気付けばすぐ傍に神崎がいた。
「大丈夫ですか?」
「うん…」
次の瞬間 ――――
ズキューン……
発砲音が聞こえ、私に倒れ込む神崎の姿。
「神崎? 神崎っ!」
「……大丈夫…です。掠めただけですから……」
そう言う神崎の表情は、何処かかなり痛さに耐える苦痛の表情をしている。
「神崎っ! そんな訳ないでしょう!?」
「まだトドメはさしていなかったので相手から銃弾を放たれたんですよ。さあ、逃げましょう!」
「…うん…」
「そんな顔しないで下さい。私は大丈夫ですから」
「でも…」
「さあ、ここを出ましょう!」
ゆっくりと立ち上がる神崎。
出入り口に差し掛かった時、
カチッ
カラーン
神崎は私達のいた部屋に何かを投げ込む。
グイッと私の腕を掴み、その場から走り去るように私を抱きかかえるようにし、私の上に覆い被さるように伏せる。
ドーーーン
爆風で私達は飛ばされ、一つの部屋に滑り込むように神崎は私を庇うようにしっかり抱きしめ部屋に転がり込むように入った。
「……っ!」
「神崎? 神崎っ!」
「…お嬢様…私の事は良いですから逃げて下さい。すぐに助けが来ます」
「神崎が逃げないなら私も逃げない!」
「…お嬢様…」
「神崎を置いて逃げるなんて…私が出来る訳……ない…よ……私と一緒に逃げるの…!」
「…お嬢様…ありがとうございます…しかし…今の私の体力には限界があります…ここを出る迄に力が尽きるでしょう…」
「いや…やだ…! そんな事言わないでよ…っ!…あなたは邑岐家に仕える執事なんだから! ご主人様の命令を聞くのが神崎の仕事でしょう!? どんな我が儘も…」
「…お嬢様…」
「肩貸すから出よう…神崎…ゆっくりで良いから…前に進もう…」
「…本当…鮎花は…お嬢様だったり…女の子だったり…女性だったり…」
「 …神崎…」
「今迄仕えてきて色々な鮎花に振り回されてる…」
ドキン
久しぶりに名前呼ばれ胸が大きく跳ねた。
「…昴…」
昴はゆっくり起き上がると、私の片頬に触れ今迄にない優しい眼差しで見つめる。
ドキン
胸が大きく跳ねると、私の胸はドキドキ加速していく。
ドーーーン
再び爆発音が響き渡り、私達は現在の状況に引き戻される。
「………………」
「…もう少し頑張りましょう…お嬢様」
「…神崎…うん…」
私達は立ち上がる。
「…神崎…」
「はい」
私は神崎の頬にキスをした。
「お、お嬢様っ!?」
「頑張って…ここ出よう…」
私達は出ようとしドアを開けた瞬間 ―――――
ドーーーン……
バリーーン…
バリーーン…
爆発音がし、窓硝子が割れ炎に包まれた。
私は、幼い記憶がフラッシュバックし恐怖に陥る。
「…いや……いやぁぁぁっ!」
「お嬢様っ! いやっ! 鮎花、ここで負けるなっ!」
「…昴…」
私は麻那斗の言葉が脳裏に過る。
「二人で出るんだ! そして、桂一おじさんの所に戻るんだ!」
「…昴…うん…」
≪闘わなきゃ≫
≪炎に負けたら駄目だ≫
私達は、一歩一歩、ゆっくりと前に進む。
そして、麻那斗と有希と合流し、昴は、安心したかのようにそのまま倒れた。
「昴っ!?」
「すぐに病院に搬送だ!」
「麻那斗……昴…神崎…助かるよね…死んだりしないよね……」
「死なせない!」
「敏腕名医の手にかかれば大丈夫や! 仲間が必ず助けるから安心せい!」
「……うん……」
私達は建物を後に病院へと向かった。
お父様も怪我をしており、同じ病院に搬送されていた。
昴はすぐに手術をした。
敏腕医師の・汐谷 那津樹(しおたに なづき)さんという名医によって……
そして ――――
「鮎花…?」
「…昴? 良かった…」
グイッと抱き寄せられる。
ドキン
「ありがとう」
「えっ? 私は何もしてないよ」
「傍にいてくれた」
「昴…いつも昴が傍にいてくれてるように私が傍にいたいって思ったから…」
「…そうか…」
「お父様も怪我をしていたみたいで、ここの病院に搬送されてたみたい」
「そうだったんですね…ご無事なら何よりです」
「神崎…」
「何ですか?」
「私をいつも傍で見守ってくれてありがとう」
「私は邑岐家に仕えた執事ですから、当然の事をしているだけですよ…それに……」
私は抱き寄せられた体を離していく。
グイッと引き止められたかと思うとキスされた。
「……!!!」
≪えっ!? 今、キスされたぁぁっ!!!≫
≪待って! 私達って親戚…なんじゃ……≫
「あなたはお嬢様であり婚約者です」
ドキン
突然の言葉に驚く私。
「か、神崎…っ! えっ!? 昴っ!?」
「詳しい事は退院して話を」
「………………」
そして―――
お父様から、神崎 昴と親戚ではない事を聞いた。
神崎の両親は他界し、お父様の大親友であったのもあり、お父様が昴の面倒を見ると決めたとの事だった。
「お嬢様っ!」
「うわっ! 神崎っ!」
「またあなたはレッスンをサボりましたね!」
「ご、ごめんなさいっ! 友達の誘惑に負けました!」
「全く! 来週は倍のレッスンですよ!」
「ええっ!!」
「当たり前ですっ!」
「………………」
ヘコむ私。
「鮎花」
私は顔をあげるとキスされた。
ドキン
「自業自得だろう?」
「うん…」
「良いですね。お嬢様」
「はい……」
私達の関係はお嬢様と執事で
時々、お互いの婚約者として………
私の執事は・・・ ハル @haru4649
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