第6話 交換条件、同居

鹿賀 麻那斗さんと同居して一ヶ月。


データーの件で動きがなく平和な日々を送っていた。


父親と神崎は、ひっそりと暮らしている中、二人に会う事もなく私は学校に行く。


そんなある日、相手側に動きがあり神崎と一緒に父親が捕まった事を聞いた。



私がデーターに関する事を父親から聞いている以上、引き換えとして交換条件を出して来たのだ。


データーを渡す事になった所で相手側は二人を生きて返す保証はある?


大体殺されるという事が良くあるし定番中の定番だ。


そんな恐怖の中、逃げる訳には行かず、勿論、私の命も危ないかもしれないけど…………





「鮎花」



ビクッ


放課後の学校で私の名前を呼ぶ人影に驚く私。



視線の先には眼鏡をかけて何処か見覚えのある人物がいた。



「ん?? ……麻那…斗? …何してんの?」

「潜入捜査だ」

「えっ? いやいや明らかにバレるでしょう?」

「だったら今頃、大騒動じゃないのか?」

「……それは……」


「ここの学校は、そういう詰めが甘い証拠だろう?」


「私に言われても困るんだけど?」




その時だ。



「すみません。どちら様でしょうか?」と、先生



≪怪しまれてるし≫



「すみません、妹がいつもお世話になっています。車で妹を待っていたのですが余りにも遅くて心配になって」


「あー、家族の方でしたか」

「はい。おいっ! 鮎花、まだか?」

「はいはい。分かりました。お兄ちゃん急かすの辞めてくれる?」



取り合えず兄妹の振りをする私。



≪似ても似付かないでしょう?≫

≪でも先生は納得してるし≫



私は帰る準備の仕度をして教室を後に帰り始める




「やっぱり……そうだったか?」



麻那斗は聞こえるか聞こえないかの声で言う。




「えっ!?」



グイッと肩を抱き寄せる。




「きゃあっ!」

「静かにしろ!」




ドキン

胸が大きく跳ねる。



≪ち、近っ!≫



「えっ? む、無理だって!」

「言う通りにするんだ!」

「な、何?」

「奴等が後をつけて来ている」

「えっ!?」

「振り向くなっ!」

「麻那斗……?」


「このままでは家がバレてしまう。今、有希を呼んだ。お前は先に帰るんだ。いいな。俺は後で向かう」


「……うん……」



私は有希と合流し別行動をする。


麻那斗が帰って来るまで有希にはいてもらい入れ違いで麻那斗と変わる。


「大丈夫だったようだな」

「うん、おかげさまで」




その日の夜も更けた頃 ――――



「鮎花、鮎花、起きろ!」

「んー……何?」

「ここを出る」

「えっ?……今から……?」

「データーを持って助けに行く。二人から場所を強制的に聞き出されたらここがバレるのも時間の問題だ。必要なものだけ持って行け!」



私は準備をし二人がいるアジトに向かう。



アジトに着くのと同時に私の携帯にメールが入ってきた。


神崎からだ。




「神崎?」

「どうした?」

「捕まっているはずの神崎からメールが……」

「あの執事からか?」

「うん……データーは絶対に渡してはいけないって……」


「どうやら中の様子もおかしい。もしかすると逃げたのかもしれない。あの執事もかなりの身体能力があるのは確かだ」


「確かに、お父様の話だと神崎も身体能力があるからって執事として雇われてるものの神崎の違う一面を目の当たりにした記憶はあるけど……」


「だからと言って正直生きて帰れる保証はない」


「それは……」

「お前はどうしたい?」

「えっ?」

「データーを渡すか?」


「今後同じ繰り返しになる可能性があるなら私はデーターを渡しに行く」

「こちらから罠を仕掛ける事も出来るが?」


「えっ!?」


「お前は詳しい事は知らないだろうが邑岐家は裏組織の繋がりが多い。しかし犯罪を犯すのではなく悪い奴等から守る為の組織だ。データーを奴等から守るには、悪い奴等を末梢すべきだ!」


「………………」


「邑岐家にあるのは多分、今迄関わってきたリストや名簿、邑岐家に関するデーターもあるはずだ。あの執事も外部とはいえ親戚。だが、もしかすると親戚ではない可能性もある」



「えっ?」


「詳しい事もハッキリとした事も分からないからこそデーターがあるんだと思う」


「でも……奴等は私とデーターを引き換えにしてんだよ!? それで行かないのはルール違反だよ! 二人を見放す事は出来ない!」


「分かった。じゃあ、お前に計画を話す。罠は既に仕掛けてある。今日ここに来たのも父親と執事を助ける為だ。奴等が油断している隙に罠は作動する。有希も、今、こっちに向かっている」


「分かった」


「ただ、お前は幼い頃からの記憶で、トラウマがあるはずだ。自分が良く分かっているはずだ。もし問題が生じた時、お前がそれに直面した時、闘って向き合わなければならない。いいな!」


「うん」



私達は、建物の中に入って行く事にした。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る