第5話 組織
「邑岐 鮎花だな?」
ビクッ
私の背後から背中辺りに何かを突き付けられているのが分かる。
過去の記憶からいくと多分……拳銃だろう?
「……誰?」
「ちょっと付き合ってもらおうか?」
「………………」
本来なら既に迎えに来ている神崎が、まだ迎えに来ていない間に起きている出来事だ。
≪どうしよう? 下手に抵抗しない方が良いよね≫
私は抵抗するのは辞め指示に従う事にした。
そして、偶然に神崎は見掛けたが、神崎も下手に動けないと思い私の携帯にメールを入れる事にした。
私は、とある建物に連れて行かれ部屋に詰め出された。
私は今の状況を報告するのと同時に、神崎からの連絡と父親の返事をもらった。
『必ず助けに行きます。お嬢様』
『鮎花、大丈夫か? 神崎が今向かっているはずだから下手に動かないで抵抗せずに大人しくしてなさい』
そういうメールが送られて来た。
しばらくして ――――
「不法侵入者、不法侵入者」
ビクッ
突然、建物内に流れる中、拳銃音が響き渡る。
私の部屋が開く。
「出ろ!」
私は指示に従うも逃げる事にした。
「待てっ!」
私はそのまま逃げる。
「お嬢様っ!」
「神崎っ!」
次の瞬間 ――――
グイッと背後から捕まえられた。
「きゃあっ!」
「おっと! 逃げられたらかなわないからねぇ~。殺されないのが運の良い小娘だな! ありがたく思いなっ!データーの情報を掴んでいるのが不幸中の幸いだったなぁ~お嬢様の邑岐 鮎花さん」
ドクン……
≪名前知られてるんだ≫
「データーに関する情報を教えてくれれば悪いようにしない」
その時だ。
ドカッ
背後の人が殴られた様な音が聞こえた。
「うっ……」
ドサッ
倒れる人影。
「きゃあっ!」
「予定狂たやん!」
≪関西系?≫
≪何となく記憶に残っているような≫
「お前……鮎花っちゅー女やろ?」
「えっ?」
振り返る私。
「前に会(お)うた事あるねんけど、あんた記憶喪失やったから覚えてへんやろうな?」
「微かに記憶が……あるような……ないような……」
「どっちやねん!」
「お嬢様っ!」
「神崎っ!」
駆け寄る神崎。
「すみません、ありがとうございます」
神崎はお礼を言った。
「ああ、別にかまへん」
「あなたは以前にも……」
「せや。一先ず一旦退散せなあかん!嬢ちゃん拉致られて兄ちゃん助けに来た感じやろ? 二人は逃げるんや」
「あなたは?」と、神崎。
「俺は迎え待ちやし。まあ、一応逃げるんやけど……」
「いたぞ!」
「捕まえろ!」
「鬼が来たで! ちゅーか鬼ごっこしてる場合や
ないねんけどなぁ~」
カチッ
関西系の男の人は何かを手に相手側に投げた。
「逃げるで!」
拳銃を構え投げた物に向けて銃弾を放つ。
ドーーーン……
爆発し、その隙に私達は逃げる。
「ええか。そこを右に曲がってすぐの所に外に出れる場所がある。そこから逃げるんや。俺も後を追うから先に逃げるんや」
「はい」
「兄ちゃん、嬢ちゃん守りぃ~。敵の数は山程いてるから油断したらあかんで!」
「分かりました」
そして私達は、何とか外に逃げる事が出来、その直後だった。
「お嬢様、旦那様がこちらに戻って来るなと」
「えっ!?」
「一応、旦那様には優秀なボディガードがついてるので命に別状はないかと」
「でも……」
「大丈夫ですよ。優秀なボディガードですから」
「………………」
「神崎……屋敷に行く事は出来ない?」
「お嬢様っ!?」
「お願いっ!」
「しかし、私達迄巻き込まれてしまいます。行かない方が宜しいかと……」
「嬢ちゃん行かん方がええよ」
「えっ?」
「その兄ちゃんが言うようにあんた達まで巻き込まれるで! 死にに行くのと一緒や」
「でも……」
「ボディガードついてるんやろう?だったら大丈夫やと思うで」
「………………」
「現に助かってるんやったら行く意味ないやろ? 行くだけ無駄や」
そこへ ――――
「有希(ゆうき)っ! 何してんねんっ! 何で失敗するんやっ!」
女の人が男の人を叱る。
「しゃーないやん! 予定狂うたんやからっ!」
「すみません……私達が予定を狂わせたみたいで……」
「あー、ええの、ええの。有希の要領が悪いだけやから」
「何でやねん!」
「麻那斗君なら失敗せーへんのに~。全く出来の悪い弟やから~。麻那斗君と交換してほしいわ!」
「ほんならクローンでも作りぃ~」
「それええなぁ~」
「アホちゃうか!」
「実の姉にアホって何やねん!」
「出来の悪い弟やからなぁ~姉もアホなんちゃうん?」
二人の会話を微笑ましく思う中
「神崎、屋敷に戻れないとなれば私達どうすれば」
「旦那様から住所をお預かりしております」
「えっ?」
「そちらに移動しましょう」
「うん……」
私達は目的地に向かう。
住所を頼りに向かった先は、とあるマンションだった。
「お嬢様、こちらです」
1つの部屋の前に私達は来た。
インターホンを押そうとすると、ガチャリと部屋のドアが開いた。
「誰だ?」
「すみません。執事の神崎と申します。旦那様から、こちらの住所を教えてもらい伺いました」
「旦那様…名前は?」
「邑岐です」
「入れ!父親は既にいる」
私達は中に入る。
「鮎花っ!」
「お父様!」
「大丈夫だったか?」
「うん」
「旦那様、御無事で何よりです」
「ああ。彼のお陰でな。神崎、娘を助けてくれてありがとう」
「いいえ当たり前の事をしたまでの事です」
それから私達は今後の話し合いをした。
私達が訪れた部屋の住人は
鹿賀 麻那斗(かが まなと)さん。20歳。
過去に会った事あるらしいけど良く覚えてない私。
そういえば、さっきの男の人も言っていた。
さっきの人は
久流 有希(くりゅう ゆうき)さん。20歳だそう。
鹿賀さんは父親と昔からの面識がある為、お互い顔見知りでボディガードも彼に頼んだとの事。
身体能力もあるらしく神崎とも面識があるようにも見える。
気にはなるけど深く探索するのも辞めた。
今後しばらくは屋敷には戻らない方が良いだろう?との事で、私は、ここのマンションからかようように言われた。
しかも、鹿賀さんと同居!?
男の人と二人きりで同居なんて経験した事のない私はかなり抵抗があった。
お父様の方に神崎が仕えるらしく ―――
そんな不安の中、生活環境が変わるのだった。
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