第3話 真のサッカーの勇者を決めよう
「それで女王よ、どうやってサッカーの勇者を決めなさるのかな」
「そんなのは簡単なことです。サッカーで戦うのです。真のサッカーの勇者が負けるはずはありませんので」
女王は堂々とそう発言した。
「ふっ、望むところです。サッカーの勇者というのには興味ありませんが、サッカーと名の付くもので、この僕テレキ・ネシスが負けるはずはありません」
青い髪の青年、テレキ・ネシスは、どこからくるのか溢れる自信を隠しもしないでそう言う。
「ガハハハッ! 俺様、スグニ・ナグルは誰の挑戦でも受ける! 売られた喧嘩は必ず買うのがサッカー番長だ!」
赤い髪の青年、スグニ・ナグルは力強くそう言い放った。喧嘩ではなくサッカーなのだが、勘違いの困った奴だ。
「ぼ、僕もサッカーで負けるわけにはいきません。この、サンコノ・レイの頭脳でチームを勝利に導きましょう」
黄色い髪の青年、サンコノ・レイも、オドオドしながらだが、自信を持ってそう発言した。
三人がそう言い放った後に、その場にいた全員が俺を見た。どうやら俺の発言を待っているようだ。別に何も言いたくはないのだが、その場の空気感に負けてそれっぽい感じで適当に言ってやる。
「ふっ、まだまだ甘ちゃんだな。サッカーの本当の意味も知らない馬鹿どもたちよ。お前たちではこの俺、三浦には勝てない理由があるのだ!」
「なんだと! それはどんな理由だ!!」
もちろん理由などない。適当に言っただけだ。
「ふっ、そんなのは自分で考えろ!!! 貴様は説明されないと理解できな馬鹿者なのか!!」
「ぐっ……俺様が考えるのが苦手なのをいいことに……レイ! お前は頭いいんだろ! 理由とはなんなのだ!!」
「そ、そうですね……おそらくですが、みんなが色々言ったので、何か気の利いたことを言わないといけないと思い、適当な言葉を並べただけで、本当はなんの理由もないというオチではないでしょうか」
コンチクショー! 完璧な解説だサンコノ・レイ。
「なんだと!! 貴様! 俺様を騙しやがったのか!!」
「ふっ、騙したと思うならそれでいい。しかし!! そう思ったら終わりだぞ!! もう一度よく考えろ!!」
「なっ!! そうか……危ねえ……危うく終わるとこだったぜ」
あっ、さてはコイツちょろいな……勢いでどうにかなるタイプだ。
じっと俺たちのやり取りを見ていた女王が、そこで声をかけてくる。
「サッカーの勇者の候補たちよ! あなたたちが争うのはここではありません! サッカーコロシアムがあなた方の戦場になるのです」
「ちょっとお待ちください、美しい王女よ。サッカーで戦うのであれば一人では戦えません。チームメイトはどうすれば良いのですか」
確かにネシスの言うようにサッカーは十一人でやるものだ。一人ではどうすることもできない。
「この国には32のサッカーチームがあります。自分の目で最高だと思うチームを選んで入団してください。ただし、私からチームに受け入れろとは言えません。自分の力で入団を勝ち取ってください」
「チームに入れないくらいではサッカーの勇者の資格は無しということですね」
「その通りです。ただ、知らない世界で、無一文は厳しいでしょう。私から準備金を用意しました。贅沢しなければ数年は生活できる金額ですから有意義に使ってください」
「準備金まで用意してもらえるとはなんともイージーな展開ですね」
「そうだな。それも数年も生活できるほどの大金とはな」
まー貰えるものは貰うが、こんなところに呼び寄せといてチームは自分で探せとか、なんも勝手な話だな……。
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