ひとことで表せないような気持ちが書かれている小説です。

女がオンナを殺そうとする話、第一話を読ませていただいた感想です。

物語を読むとき、どうしても自分と重ね合わせて見てしまうので、途中で自分語りみたいなのが挟まったら申し訳ないです。イズミに感情移入して涙が出てくるというか、喉の奥が詰まるような感覚になるくらい、なにか迫ってくるものがありました。うまく言葉にできなくてすみません。

恋人じゃなくても、大事な人がいなくなったとき、劇的な思い出だってもちろん忘れないのですが、些細なきっかけからなんでもないような会話とか暮らしとかそういう思い出ばかり浮かびあがってきて、大切だったのに、なくなったものの形が見えてしまって胸が詰まることがありました。
イズミが、この表現が正しいかはわかりませんが、恋人とのありふれた生活の一瞬を思い出しては懐かしんだり遣る瀬無さを感じている様子に昔の自分を重ねて読んでいました。

イズミがまだ飲み込み切れていない悲しさとか寂しさが見えて苦しいし、どうにもならない感情も吐き出してしまってほしいと思うし、それを見るのが怖い気もします。

あとこれは文の好みの話なのですが、
「〜のだ。」口調の繰り返しや、「絵だってうまくならない。花をどれだけうまく描いても、死んだ人間は生き返ったりしない。」の部分、あとは「セットは一生かかってくれるな。」から「せっかくセットしたのにね。」になるあたりがリズミカルで好きです。
「前を向こうとすると、特に。」は何度読んでも大好きですし、「きっと私たちの人生が交錯するのは今日限りで終わりなのだろうから、祈るなら今のうちなのだ。」も、とても好きです。
最後のページの、「夏には〜」から始まる段落の後半が大好きで、特に、「そのまま私の思い出だったのに。」の部分は、何度読み返しても切なさで不思議な気持ちになります。

まだ好きなポイントはあるのですが、あまりにもまとまりがなくなってきたので第一話はこのあたりで…。
おもしろかったです。第二話をたのしみにしています。

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女がオンナを殺そうとする話、第二話を読ませていただいた感想です。

一話と比べると二話のほうが読後感が明るく、終盤でかなり不穏な(ハサミの)場面があるのにイズミの行動ひとつでこうも転じるのか、という驚きがありました。

一話から相変わらずのダジャレと、対句みたいな会話、あとは会話文の短さが実際の会話のリズムぽくて軽快で読んでいて楽しいです。
反対に地の文は苦しい感じがすることが多かった気がします。感覚で話しているのでうまく言語化できなくて申し訳ないです。
あと全然関係ないですし勝手に想像しただけなのですが、「そうだといいなぁ」と言ったときのサナちゃんの目元はたぶんすごく好きです。

文の話に戻ると、「言うだけはタダですし」の後に、食べるだけタダなので。で締めて、そこでスパッと一区切れする映像っぽさが小気味良くて好きです。他に表現の仕方がわからないので、映像っぽいという言い方が不快でしたらすみません。
真実に近い声を出すとき、人間はいつだって声にその香りを混ぜる。というところは、ただただきれいな言葉だな、とびっくりしました。

マチは基本的に人を小馬鹿にしているような喋りが多くて、読んでいる側としても話の展開に余裕があるときでないと正直少しイラッとしてしまいました。(すみません)
ただ、基本的にちょっとムカつきながら読んでいましたし、終盤のハサミ騒動のときも「なんだこいつは」と思ってしまいましたが、イズミが毅然としてマチに向かい合ったあとからは愛らしさみたいな部分が戻ってくるのが不思議な感覚でした。

言葉がうまく使えていない部分には目を瞑って頂けると幸いです。
第三話の更新も楽しみに待たせていただきます。

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女がオンナを殺そうとする話、第三話を読ませていただいた感想です。

とにかく三話は全体通して、会話がとっても楽しかったです。テンポというか、人と人の会話のスピードってこうだよね、と読んでいて思いました。マチとイズミが煽りあう会話とか特に好きで、何度か繰り返して読みました。(全体的にですが特にカレンダーのところとかです)
あと一、二話にもありましたが、三話は韻を踏んでいるような部分がかなり多く感じました。声に出して読んだらリズムが気持ちいいのだろうな、と思って、じつは実際に声に出して読んだりもしました。楽しかったです。

ハンバーガーを食べるシーンもなんというか新鮮で、いままで転枝さんの作品をいくつか読ませていただいた中でも食べること自体を楽しむ描写は初めてだった気がします。月見バーガーを食べながら「畜生仲間」とか言い出してたのはさすがに笑いました。
食べ物関連でもうひとつ、"ちゃんと専門店で売られているみたらし団子のような弾力で笑んだ"という表現も好きです。もっちりつやつやの笑顔が浮かびます。

たぶん二話でたくさん後悔したイズミが、三話でしっかりチカさんの事情に踏み込んでいくのも印象的でした。いままでの話からもわかっていましたが、なんだかんだで情に厚くて強いひとだと思います。
そして何と言っても三話では、とにかくマチについて抱いていた印象が変わりましたし、前よりずっと好きになりました。
マチが文化祭について質問するシーンがとても好きで、年相応というか普段の大人びた様子よりも幼い印象を受けてかわいいですし、チカさんのためにあれこれ暗躍する様子は格好いいです。
あと、「難しいことを考えている顔ですね〜」ってセリフは難しいこと考えてなさそうすぎて大好きです。そのあとの相棒感もとても好きです。

怒ったふたりが文化祭にどう関わっていくのか、怒ったチカさんはどうするのか、第四話の更新も本当に楽しみにしています。

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女がオンナを殺そうとする話、第四話を読ませていただいた感想です。

(当たり前ですが)最終的には楽しいだけで終わりはしないのですが、とにかく読んでいて楽しかったです。特にムギちゃんとたわむれる場面と、文化祭検問場面が好きでした。
大塚愛みたいなことを言い出しているムギちゃんはサクランボのようになっていてかわいいし、「じゃあジャイアントスイングして〜」も大好きです。じゃあってなんなんだ…となるし、断られるとは微塵も思っていなさそうで、なんというか家庭環境が垣間見える感じがしました。
検問場面は、もうとにかくイズミの語彙が光る光るといった感じで声上げて笑いました。毎度言っている気がするのですが、会話のテンポ感が最高だと思います。
あとはマチが純粋に文化祭を楽しんでいてよかったです。手製のジェットコースター(?)ではしゃぐだけの、マチの笑顔が見たいなと思いました。あと天文部のひとたちがいいキャラすぎませんか?
そして何と言っても、頼もしい助っ人の登場は激アツでした!検問の場面で「あっ!まさか!」となって、いや〜いいものを見た…みたいな気分になっていたのですが、まさか再登場するとは思わずに「ええ〜〜〜!?」みたいな声が出ました。うれしい悲鳴という感じです。静かに名探偵していて流石でした。
鹿島くんもね〜…最初はダメだこいつと思ったけど、なんだよちょっといいやつじゃん…みたいな気持ちになるひとでした。
爆竹シーンの、イズミとマチの会話から緊迫した空気が味わえてとっても良かったです。緊張感あるシーンですが、テンポが好きで何度も繰り返して読みました。
マチ見せ場的な戦う場面が2回あったと思うのですが、1回目(vs鹿島くん)のときは痛快!かっこいい!という感じだったのに対して、2回目(vs取り巻き三人衆)はなんというか、強い、かっこいいとはもちろん思ったのですが、得体の知れないものに対する恐れみたいなものは正直感じました。彼女らの正義に従って動いているけど、正義のヒーローとはもしかしたら呼べないのかもしれない、と思いました。
あと演劇本番前、他のものは間に合わなかったけど、コンタクトだけは着けられてよかった。外から見られるチカさんよりも、チカさんから見た世界が大丈夫になることのほうが大事で、だからよかったと思います。
チカさんとメリさんのシーンは、つらいダメだあ〜…みたいな気持ちで読んでいました。メリさんと対面したときのチカさんの表情の推移で、悲しさとか混乱とかそれでもまだ許せるのならば許そうと思っているのだろうかとか、いろんなことを思うし、でもどうしようもなく怒っているとそうなるよねとも思います。本当のところはわかりませんが…。ただもう仲直りができるわけでもなく、何が戻ってくるわけでもなく、どうにもなれなくても、チカさんに必要なことだったろうなあと思います。

イズミとマチのふたりはいい相棒だと思いますが、この先ふたりの関係性がどうなっていくのかがとても気になります。
あと、最後のひとは、いったい誰なんでしょうか?
正体が気になりすぎるので、第五話もとっても楽しみです。誰なんでしょう…。