第45話 私の願い

 カラッと余所余所しい、でもどこか愛らしい鈴の音が心の中で転がった。

 私は転がる金色の鈴を見るだけで、鈴はコロコロと止まることを知らずに転がっていく。


 すっかり世の中はクリスマスムード。

 人の願いと幸福が交錯する中私は一人、人がごった返す道を歩く。


「もう十二月かぁ……」


 私はマフラーから口を出して、そう呟いた。

 そう呟くと同時に、白い息が真っ黒な空に昇って行った。


 私はそんなどこに行くかもわからないものをじっと見つめて、また歩き出す。



 私は一体、何がしたいんだろう。

 


 今年のクリスマスこそは、高校生になって初めてのクリスマスこそは絶対に……と決意を固めていたんだけど、結局私はその前にその決意を無駄にしてしまった。

 

 つくづくバカだと思う。

 それと同時に、間違いなく私が悪いと思う。


 ……でも。


 これから降る雪のように。

 子供がクリスマスにサンタに願うように。


 積もりに積もってしまったこの思いはどうにもできなくて。

 私らしくもなく……いや、どこか私らしいのかもしれない。


 きっと、私は昔からこうなのだ。

 いつも大人っぽく委員長として俯瞰する立場にいたけど、全然歩夢とか正弘とかの方がよっぽど大人で。

 


 きっと私は今でも、サンタに願う子供のままだ。

 


「……はぁ」


 でも、願わずにはいられない。

 いつまでも私は子供でいいから。

 いつまでも私は子供のままでいるから。

 

 だから、だから……どうか、

























 ――私の恋を、成就させてください。









 

—――――――――――――――――――――――――――――――――――――


しんしんと音もなく、空から舞い降りる雪。

そんな雪にぬくもりを感じる季節が、やってきましたね。



第三章開幕です!

遅くなってしまい、すみませんでした!


私は冬という季節が大好きです。

冬が好きだという方はもっと、冬が苦手だという方は冬の魅力に気づけるように、好きになってもらえるように第三章を書いていこうと思います。

そして第三章のメインは——氷見と正弘。

いつか終わりを迎えるこの物語も、折り返し地点に入ってまいりました。


この物語をこれからもよろしくお願いします(o^―^o)ニコ

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大人気モデルになった幼馴染が幼い頃に交わした俺との約束を果たすために帰ってきた件 本町かまくら @mutukiiiti14

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