第2話 【筆談】
この高校に入学して二日目、まだ学校の雰囲気に慣れないけど今日も頑張ろう。
今日は遅刻することなく教室に入る。
「御白くんおはよ!」
席に着くと声をかけられる。この声は確か――
「おはよう、加名崎さん」
同じ学級委員の加名崎さんだ。全然話したことないけどこうやって挨拶してくれるなんていい人だな……。
隣に目線を送ると神薙さんはもう学校に来ていた。よし、頑張って僕から挨拶してみよう。
「神薙さん、おはよう」
「御白くん、おはよ」
よし、なんとか挨拶できた。自分から話しかけるのって緊張するんだよな……。
「あ、昨日の怪我大丈夫?」
「うん、だいぶ良くなったよ、普通に歩く分にはもう痛くないし平気」
足の怪我って登校するのも大変だし良くなってよかった。
それから少し神薙さんと雑談をしていると、チャイムが朝の時間の終わりを告げた。
*
やばい、眠いなぁ……。昼休みを過ぎ五時間目、ご飯を食べた後に歴史の授業って眠くならない人いるのかな。
ふと気になって隣を見る。凄いなぁ、神薙さんはちゃんとノートもとって授業聞いてる。特に当てられることなく黒板の板書をするだけってほんと大変。
物凄い睡魔に襲われ僕が思わず寝そうになると肩をつつかれる。やばい、これ先生に怒られるやつなんじゃ――と思ったら神薙さんがノートを渡してくる。なんだろう?
『御白くん眠い?』
ノートにはメッセージが書かれていた。
『めっちゃ眠い、神薙さんは眠くないの?』
僕も返事を書きこむ。
『私も眠いよ、お昼過ぎって眠くなっちゃうよね』
『神薙さんも眠いの?』
『うん、御白くんも眠そうだけどもしかして邪魔しちゃったかな?』
『授業中に寝るわけにはいかないし大丈夫だよ』
『よかった、私もこのままだと寝ちゃいそうだから少し話さない?』
授業中に筆談するって青春って感じでドキドキするな……
『いいよー、何話す?』
『んー、御白くんのこと教えてほしいな』
『僕のこと? それは構わないけど、何か聞きたいこととかある?』
『御白くんの好きなものとか知りたいな』
『好きなものか……本読んだりゲームするのが好きかな、あとはカラオケ行ったり』
『たくさん好きなものあるんだね、凄いなぁ』
『神薙さんは好きなものある?』
『私はね、猫が好きかな。よく猫の動画見たりするの』
『猫可愛いよね』
『好きだけど猫アレルギーだから飼えないんだけどね』
神薙さんが少し寂しそうな表情をする。好きなのに触れ合えないのは辛いよね……。
『ねえねえ、帰りにゲームセンターに行かない? 御白くんがゲームしてるとこ見てみたい』
『え、えっと、それは構わないけど……』
ゲームセンターに一緒に行く? それってデートなのでは……というかそもそもどこからがデートなんだろう、二人でどこかに行くって世間一般的にはデートだよね? 違うのかな。
ダメだ、緊張してよくわかんなくなってきた。考えるのやめよう。
その後緊張しすぎて授業の内容が耳に入ってこなかったのは言うまでもない。
ぼっち、ほぼ女子高に入学します @aosuzunazuna
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