第39話 IDOL×IDOL STORY! 得能正太郎 芳文社

 久しぶりの紹介ですね。

 アニメ化もされたNEW GAMEの得能正太郎先生の新作です。

 つーかもう四巻まで出てるんですけどね。

 ずばり言うとアイドル物で、ぶっちゃけワイの趣味の範疇じゃなかったんですよ。

 うん、はっきり言ってアイドル自体には興味がないの、ワイの他作品読んでる人だと分かると思うんですけどね。

 ただamazonで一巻と二巻が無料期間だったので、たまたま読んでしまったと。

 いや~、アイドル物と言うよりこれはスポ根もので、オーディションはサバイバルレースというのが非常に魅力的なんですよ。

 元売れないアイドルが推しのマイナーアイドルと一緒に、大規模アイドルオーディションに年齢ぎりぎりで応募するというものなんです。

 そして一次審査と二次審査が終わって、三次審査からが物語の本番です。


 この三次審査から、一人ずつ脱落していく、というのが肝です。

 最終的に選ばれるメンバー数になるまで減っていくわけですが、その過程が本当にスポ根と言うか。

 夢を与える職業ではあっても、そこに至る道は険しいという、人間関係がギスギスしたり、それでもステージでは嘘はつけない過酷な競争ですよ。

 しかしそれでも友情や、いい意味でのライバル心があって、見所になっているんですよね。

 メインの人数が多すぎると最初は思うかもしれませんけど、最初はミミ助とブッキーだけでいいんです。話が進めばそれぞれのキャラに、どんどんとスポットが当たっていくわけですから。

 ワイも最初はこの二人だけを見てましたけど、実は相当にキャラ付けされていて、次に脱落するのは誰だ、というような緊張感まであるわけですね。


 まあ美少女ばかりで人数も多いんですけど、かなり描き分けは出来ています。

 つーか物語が進むにつれ、自然と見分けがつくようになってきます。

 一芸特化型とか、ダンス枠、歌唱枠、ポテンシャル重視、リーダータイプなど、単純な総合力では決まらないんでしょうね。

 メタ的に誰が次に落ちるのか予想してみたり、そうかと思うと弱点が明らかになって一気に脱落候補になったり、ポテンシャル枠が一芸でランキングを上げたりと、物語の波がしっかりとしているのですよ。

 当然主人公二人は残るはずとも思うのですが、おそらくこのペースだとデビューまでで作品は完結するのかな?

 そうなると最後の最後で二人のうちどちらかが落ちても不思議ではない、かなり予想の難しい展開にもなりうるのです。


 自分の力をしっかり発揮するのは、ただステージの上だけではない。

 そこに至るまでの貢献度まで評価されて、順位は上がったり下がったりするのです。

 選抜する方法もまだ二段階目ですが、ここから誰をどう落としていくのか……。

 ただ落とされたとしても、それで全てが終わるわけじゃない、というのが物語のテーマにもなっているのかな?


 つーかこれ、クオリティを高めるのは難しいけど、無茶苦茶アニメ化に向いた要素が含まれてますよ。

 ワイのここで紹介した作品、これをアニメ化は無理やろなというのもけっこうアニメ化されてるので、これも充分に可能性はあります。

 ただすると問題は、どれだけの分量を、どこまでで切ってアニメ化するか、ということになるのでしょうな。

 オーディション終了までなんて、とても尺が1クールでは足りないでしょうし。

 そもそもどこまでを想定した連載なのか、とも言えますし。


 アマゾン評価でも評価数が多いのに、評価平均がすごく高いんです。

 アイドル物好きな人にはむしろ、アイドルのアスリート的な面がクローズアップされるので、合わないことさえありうる。

 人間ドラマとかサバイバルレースとか、そういう面から見たほうが楽しめるかと思います。

 ちなみにワイの推しは、ここまでへっぽこエピソードが大変に多いスズと、初期の印象からどんどん変わっているココちゃんです!

 主人公二人? いや~、多分最後まで残るだろうから、あんまり興味が湧かないと言うか……。

 キャッキャウフフなアイドル物に飽きた人にオススメの作品です。

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