第12話 school life①
「悠斗、昨日はどうだったの?」
昼休みに入ったところで麗花が話しかけてきた。
「皆良い人だったよ、まだまだ実感は無いけどさ。」
「そっか、じゃあ私の助けは要らないかなー。」
私はいつでも大丈夫だよと言いたげに麗花がチラチラと見てくるが目を合わせないようにする、まだ関わらなせない方が良い。
「何かあったら教えるさ、麗花こそ最近仕事は上手くいってるの?」
「順調だよ。学生の間はなんとかなるのかなって感じ。卒業してからが分かんないよね、このまま福岡で活動続けるのか、もっと大舞台を目指すか。それか…」
今の様なローカルタレントとして続けるにも限界はあるだろう、後輩となるアイドルも続々とデビューはしている。この中で生き残り続けるのは難しい。
「どう転んでも大丈夫なように今は勉強しろよ、全国放送でバカアイドルとか言われたくないだろ?」
「絶対嫌だよ!うっさいな、自分なりに頑張ってるんだから!」
引き出しからノートを取り出して叩いてきた。麗花はちょっと弄って怒らせるぐらいが面白い。
昼食を食べ終える頃に悠斗のスマホが鳴り出した、和希からだ。悠斗は教室を抜け出し、誰もいない1階の渡り廊下まで降りてから電話に出た。
「すまんな、急なんだけど学校終わったら西新まで来てくれん?」
「昨日の親不孝の件ですか?」
「そうそう、西新辺りは学生が多いけん聞き込みしようと思ってね。見つけられればの話だけど気になる奴が数人おるんよ。」
「わかりました、学校終わったら直で向かいますね。」
通話を終えてからスケジュール帳に書き記す、日々の予定が埋まりつつある。こんなこと悠斗にとって過去無いことだ。予鈴が鳴り教室へ戻ると次の授業の準備を始めているところだった。
「電話は仁さん?」
「いや和希さんの方、昨日色々あってさ。」
ふーんと興味なさげな様子だ。麗花がまだ関わることが出来ないからだろう、別に仲間外れにしているわけではないのだが。
「悠斗も忙しくなっていくんだろうね、私がデビューしたての時みたいにさ。」
中学時代に麗花が芸能界入りをした頃、悠斗達が徐々に疎遠になって行ったことを思い出していた。
「俺の場合は終わらせる、学校にも毎日行くから麗花は気にすんな。」
「そう…」
「悠斗、そんなに思い詰めた顔すんなよ。」
後ろから抱きついてきたのは澤村だった、そのまま耳元で囁いてきた。
「昨日あれから別のとこ行ったんでしょ。」
バレていたようだ。澤村は店を出てすぐ走り去った筈だが、何処からか後をつけていたのだろうか。
「車上荒らしをしてる他チームを捕まえることなんて2人がやることじゃないしさ。多分他に目的があるのかなって、まあアイランドシティだし依頼者の関係もあるからかもだけど。」
チームの内情を理解してあるだけはあると、悠斗はただ関心していた。
「俺の口からは言えないから、気になるなら仁さんか和希さんに聞いてくれないか。」
早く今の状況から解放されたい、抱きつかれたまま囁かれてるなんて最悪だと悠斗は振り解こうとするが澤村は効かない。
「緊急なら召集かかるだろうし大丈夫だよ。ところで悠斗、今メンバー探してるんでしょ。」.
「そうだけど。そもそもチームって物をまだ理解していないし、まだ本腰入れてないよ。」
「俺がmellowsを抜けてから入ろうか?」
「はぁ?無理すんなって、今いる環境の方が良いだろ。俺とだと下っ端の役割しかしなくなるかもだし。」
「下っ端だって立派な役目はあるんだよ、時期にわかるさ。そうそう、この学校に俺以外にmellowsのメンバーはいない。だから悠斗のチームはここの生徒だけで固めてしまうのも面白いんじゃない?」
「それは…皆に迷惑掛けるんじゃないか?この学校は進学校だし真面目な人ばかりだろ。」
「自称進進学校。迷惑かどうかは悠斗次第でしょ、俺は悠斗のチームに入ることに乗り気だから考えといてよ。」
その一言を終えると澤村は漸く身体を離して自分の席へ戻っていった。
放課後西新に着き、駐輪場に自転車を置いて建物から出たところで和希から電話が入る。悠斗の様子を何処からか見ているのだろう。
「喋るな、そのまま聞きながら普通に歩いてくれ。」
様子がおかしいと思いながらも指示通りに歩く、聞き込みをする予定だったが変わったようだ。
「今blasting crewの奴らがいる、ジャケットは着ていないけどな。バレてはいないだろうけど行動には気をつけろよ、また連絡する。」
通話が切れた、悠斗は今からどう動いて良いかわからない為、商店街を様子を伺いながら歩くことにした。近隣の高校生や買い物客が居るぐらいでいつもと変わりない。
「悠斗じゃん、ここで何してんの。」
カラオケ屋の前を通ったところで懐かしい声を掛けられた。
barrio battle Fukuoka 潤翔 @kakerusts
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