第11話 RUSH
DJ himiをクラブから近い長浜公園まで連れ出し話を聞く事にした、周りに人が居ないため話しやすいが、近くに交番がある関係上長居は出来そうにない。
「それで、事件当日中で何があったの?」
「東区のhomies pridesに所属しているDJ RUSHってわかります?」
homies pridesは東区貝塚を拠点としている組織だ、ローライダーを乗り回し親不孝通りから西通りにかけて行動しているところをよく見かけられる。どこの傘下組織というわけでもなく、同地域のblasting crewとは対立していることが知られていた。
「RUSHか。クラブ好きな奴でうちのメンバーにも仲良いのはいたよね、和希さんの後輩だっけ。」
「そうそう、侑以外にもおるよ。てか俺もRUSHと話したことはあるけど、喧嘩吹っ掛けてくるようなタイプじゃないと思うんだけど。」
侑は今回事件に巻き込まれたメンバーで、mellowsに所属しているDJ陣の1人だ。昨日釈放はされたが、mellowsにはまだ復帰出来ていない。
「そうなんですよね。でも事の発端が彼というのは事実で…」
話を纏めると、mellowsの脩が回している最中にRUSHが技術的に劣っているとブースに乗り込みdisった。それに応酬していると外野も騒ぎ出しRUSHと脩の乱闘騒ぎとなったという流れ、話を聞く限りどちらも悪い。
「homies pridesの奴らは喧嘩早いし強いからね、準備してなけりゃ一歩的にやられても仕方ないか。」
「しょうもねえ、homies pridesもウチらもそんな事で乱闘になるか?どこで暴れよるかよくわかっとるはずやろ。」
彼等組織に所属する者にとっては敵の陣地、もしくは激戦区である中央区で暴れる事は御法度だ。もちろんジャケットを着てチームとして活動する時は除かれる。RUSHと脩も各チームの新米では無いので理解はしているはずだ。
「そんなことしても両方共メリット無いね、可能性として誰かが乱闘になるよう仕向けたか。」
mellowsにhomies prides、恨みを持っている組織やチームは少なくない。しかし中央区にあるクラブである以上出入りは激しく特定は難しいだろう。
「ちょっとサツにも探りも入れとかんとね、今日の仕事ついでに聞いとくべきやったわ。」
「あと考えられるとしたら、最近新規の団体とか入ってきたとか?そんなことあったら吉川が真っ先に報告してくるか。新入りのDJが回し始めたりはしとらんよね。」
吉川は市内全域に情報網を張っている為漏れはないと、仁と和希は信頼している。
「そこまではわからないっすね、大きいイベントで客でごった返してましたし。DJもいつものメンバーで、いつもの様に学生が大勢居るのは変わらないですよ。」
「今日はここまでやな。仁、まだ調査は続けよう。これは俺らでなんとかせんといかん。」
和希は信じられなかった、DJ RUSHが回しているところを見たこともある。選曲や客の雰囲気に気を配り、クラブを心底愛している男だ。自分の居場所を壊す様な人とは思えない。
「そうっすね、黒幕掴むまでは俺らでやりましょう。」
「ついでなんですけど、来週末事件があったクラブに来てみますか?RUSHも回す予定なんですよね。」
「まじか!了解、とりあえずフライヤーとかあるよね?そうそうそれ、あざす!」
DJからフライヤーを受け取り、その場で別れた後3人は那の津通り方面へ歩き出した。
「イベントの内容はなるほどね。悠斗、これ一人で入って来んね。」
「悠斗1人だけに行かせるのはまだ重くないか?」
「俺で良ければ大丈夫ですよ、良い機会ですし。」
今日させて貰った仕事だけではまだ自分の本気は出せていない。1人でこなす事が出来れば周りにも認められて、メンバーも増やすことが出来るんじゃないかと思った。
「あ、和希さんにも色々やってもらうことあるんやけんね?作戦は俺が考える、今回こそ3人だけのミッションや。」
「仁、後輩の為に助かるぜ。明日から早速動き始めるわ。」
「俺ら明日も授業あるんやし、はよ帰ろっか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます