走馬灯

膝かっくんに、意識を持っていかれている最中は

あなたという概念は一旦取り壊され、消去法的に部材を差し替えられ、再度組み上げられる

その間あなたは、ただの絡繰り人形になる


お茶も運べる字も書ける弓だって引ける

傍目には、あなたは昔と何ら変わりないように見える


でも、あなたの頭は確かに死んでいる

それは飾りでしかない

人間に擬態するための、ただの飾り


ああ、膝かっくんのなんと怖ろしいこと


わずかな間とはいえ、意識を失うことに変わりない

脳天から抜けた魂が、戻る保証などどこにもありはしない


ああ、ひざかっくん怖ろしや


なんだか、考えるだけで震えがくる

膝ががくがく震える

もし、今、膝かっくんなんてされたら……

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