第117話:塩干物
リカルド聖帝は塩をとても大切にしていた。
塩の価値は地域と時代によって大きく違ってくる。
海岸近くでは安く内陸部ではとても高くなる。
たが高くても塩がなくては生きていけないのだ。
高価であっても岩塩鉱のない内陸部では塩を買うしかないのだ。
特に塩が高価な場合は、塩を保存するために野菜に吸わせていた。
ある程度塩の値段が下がった時代なら、食糧を保存するために塩漬けにする。
だが塩がとても高価な場合は、塩を保存するために塩漬けを作る。
塩が湿気で水分になって流れてしまわないようにだ。
だから内陸部に塩を送る商品は純粋な塩結晶でなくてもいい。
「今から攻撃魔術で海魔と魔魚を狩るよ」
幸せそうに家族に視線を向けながらリカルド聖帝が話しかける。
「「「「「やったぁああああ!」」」」」
もう何度か魔魚狩りに来ている子供達は一斉に歓声をあげる。
「僕マグロ、マグロが食べたいです」
リカルド聖帝がマグロと名付けた魔魚が大好きなバートランドが、一番最初に反応して大喜びしている。
「僕はイカです、僕はダイオウイカが食べたいです」
次にコンラッドが反応した。
リカルド聖帝がダイオウイカと名付けた魔魚が食べたいと言いだした。
他の子供達にはまだどの海魔や魔魚が美味しいかなど分からない。
ただ二人の兄が美味しいと言うから食べたがるだけだ。
リカルド聖帝が前世の知識を参考にして名付けた魔魚。
だからある程度は姿形が似ている。
味が似ているとは言えないが、だからと言って不味いわけではない。
いや、むしろ貴重性を考えればとても美味しいと感じる食材だ。
何と言っても狩るには命を張らなければいけない。
大型の海魔や魔魚に海上で襲われたら、普通の人間は簡単に喰い殺される。
小型の魔魚であっても集団に襲われれば助からない。
とてもではないが女子供に海魔や魔魚は狩れない。
だから海岸地域でも海魔や魔魚は高価なのだ。
しかも保存が難しいから、内陸部には塩干物の海魔や魔魚しか届かない。
だから届いても恐ろしく高価だった。
そんな状況でリカルド聖帝は海魔魔魚の塩干物を安定生産しようとしていた。
安価とまではいかなくても、普及食材にしたいと思っていた。
塩分の補給にも使えて旨味の付与にも使える塩干物だ。
前世の知識で言う鰹節・塩くらげ・アミエビ・スルメ・出汁ジャコのようなモノ。
それを開発すべく、使える海魔魔魚がないか試していた。
当然海魔魔魚を安定して狩る方法も考えていた。
海岸地域に駐屯させる騎士団徒士団に海魔魔魚を狩らせるのだ。
そのために普通の人間でも海魔魔魚を狩れる方法を見つけなければいけない。
そして遂にリカルド聖帝は、塩と出汁の塊のような塩干物が作れる素材を発見して、ダシイカと命名した。
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