感覚をおかしくする
2020年3月2日、午後7時ごろ、千葉県に在住の野村さん(31、仮名)は、交際関係を続けている会社の部下である朝倉さん(25、仮名)から、会社帰りにプレゼントをもらった。それは心臓だった。野村さんは、「心臓ではなく、腎臓が欲しかった」と感じた。臓器交換の霊術と、感覚をおかしくする霊術が使用された疑いがあると見て、幽霊警察は調査を進めていた。
2020年5月19日、午後2時ごろ、同事件を起こした疑いで、千葉県内に在住の幽霊、華井さん(享年13、現在24)が逮捕された。華井さんは犯行内容について全面的に認め、犯行動機について次のように供述している。
「人間の世界でも、臓器をプレゼントできるようになったらいいと思った。それだけだった」
華井さんは、生前、心臓に重い病を抱えていた。それが原因となって若くして亡くなり、幽霊となったあとは幽霊学校で霊術を勉強した。霊術を勉強する中で、臓器交換の霊術があることを知った。幽霊社会では、互いの臓器を貸し借りしたり、売買したりすることが気軽におこなわれている。
その風習に感銘を受けた華井さんは、人間世界でも同様の風習があればよかったと考えた。そうであれば、自分は心臓の病で死なずに済んだかもしれなかったからである。
「でも、人間に対して霊術を使用することは禁止されていた。だったら、法を犯してでも、臓器交換の霊術を試してみたい気持ちだった。夢見心地だった」と、華井さんは打ち明ける。そのような経緯で、臓器交換の霊術と、感覚をおかしくする霊術を使用した。
霊術と医学の相互関係は複雑である。霊術を使用すれば、医学的に治癒できない病の多くを治癒することができる。しかし、霊術を使用することによる社会秩序の混乱を考えると、安易に霊術が医学的目的で使用されるべきではないとも考えられる。病死の経験者である華井さんの犯行が、社会に一石を投じることになるのだろうか。今後の進展を見守りたい。
日刊幽霊新聞 山本清流 @whattimeisitnow
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