第2話 初合わせ

ホームルームが終わるとまた朝のような騒がしさが戻ってきた。

「おい咲也、雪城さんに話しかけないのか?」

「は、話しかけるって、お、俺が!?」

「うん」

「雪城さんに!?」

「他に誰がいるんだよ」

「ムリムリムリムリ、ムリ!」

「はぁ?何言ってんだよお前、今話しかけないでいつ話しかけるんだよ!」

「そ、それは......」

咲也が口ごもると、龍規は呆れた顔をしながら、背中をバッン!と叩いた

「考えてる暇があるんなら今すぐ行ってこい!」

「う、うん......」

後に引けなくなってしまった咲也は、早くなり続ける鼓動を何とかしてなだめようとしながら、香夜の元へと向かう。

席に近づくと、そこには綺麗な姿勢で本を読む、香夜が座っていた

(やっべぇぇぇ、綺麗すぎるだろ!俺、今からあの人に話しかけるのかよ)

そんなことを心の中で思いながら、咲也は香夜の席へと近づいていく。

話せる距離まで近づき、いざ話しかけようとしたその時、

「かーよ!」

どこからか香夜を呼ぶ声と共に1人の女子生徒がやって来た。

「あ、華ちゃん」

香夜が名前を呼び返す彼女は、咲也達の隣のクラスの生徒である 國見華くにみはなだ。

彼女は【アイアン処女・メイデン】などと言う異名を持つほどの有名人なので咲也も実際に喋った事はないものの餌食になった男子生徒の話を聞いていたので知っていた。

そんな華は、異名の名の通りに睨みつけるかのような鋭い眼光を咲也に向けて言う

「あら、何か御用でしたか?」

「い、いや別に......」

華の圧におされ何も言えなくなってしまっている咲也を見ながら香夜は首を傾げている。

「なんでも、ないです。」

そお、小さな声で伝えるて席に戻ろうとすると

「霧野君、だよね」

と、咲也の名を呼ぶ声がした。

その声の招待は他ならぬ香夜だった。

「は、はひぃ!」

突然の出来事で咲也はおかしな声をあげてしまう。

そんな姿を見た香夜は小さく微笑んでいた。

「1年間よろしくね、」

笑顔で1年間の挨拶を香夜は咲也に送った。

そんな笑顔を見た咲也も

「こちらこそよろしくお願いします!」

と、大きな声で返すのであった。

そんな2人のやり取りを見ていた華は、何処か気に入らない様子だった。

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10年前の初恋を、10年振りにしました 阜良 桜佑 @fura-ou

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