第1話 新学期

汗を垂らし、息を切らした咲也が教室へ入ろうとすると

「おう、咲也!新学期から寝坊か~」

と、調子よく声を掛けてくるのは、咲也の親友 幸野龍規こうのりゅうきだった。

「うるせぇなぁ、てか、またお前と同じクラスかよ」

「いいじゃねぇか、俺はお前がいてくれると助かるんだぜ?」

「調子いいこといいやがって」

などと、他愛もない話をしていると

「私も、同じクラスよ」

と、突然声を掛けてくる者がいた、その正体は咲也の幼なじみである 古賀愛美こがまなみだった。

「くそぉ、ただでさえ幼なじみだからってことでいつも一緒にいるのに、なんでクラスまで一緒なんだよ!」

「なにその言い方!私が同じクラスだと不満なわけ?」

「あぁ、不満だね!」

「なんですとぉー!」

など、言い合っていると、隣でやり取りを見ていた龍規が、

「ホントに2人は仲が良いなぁ」

と、言うと、

「「良くない!」」

2人揃って龍規に反論した。

「くそぉ、この新学期は、悪いこと尽くしだ!」

咲也が嘆くと、

「まぁ、そんなに落ち込むなよ、悪い事ばっかりじゃないぜ、ほら、」

と、龍規が、指さした方を見ると、そこには、静かに本を読んでいる1人の女子生徒がいた、彼女の名は 雪城香夜ゆきしろかよ 咲也の初恋の相手である。

(うおっしゃあああ、報われたあああ!)

と、心の中で叫んでいると、

「デレデレするんじゃないわよ気持ち悪い」

と、愛美が嫌悪な顔をしながら言ってくる。

「はぁ!?デレデレなんかしてねぇし!」

「ホントかぁ?」

などと、話していると、

「席つけぇ、ホームルーム始めるぞー」

大きな声とともに、担任が教室へと入ってきた。

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