10年前の初恋を、10年振りにしました

阜良 桜佑

プロローグ

モヤがかかった白い世界の中にハッキリしない意識のまま 霧野咲也きりのさくやは、立っていた。

そんな状態の咲也の前に髪の長い少女が、現れる。

「君っ......」

咲也が少女に声を掛けようとすると、突然高い所から落ちるような感覚に襲われた。

ドンッ!と言う音と共に、咲也は目を覚ます。

咲也はベッドから綺麗に、頭から落ちていた。

「あぁー、いってぇ」

などと言っていると、突然部屋のドアが勢い開く。

「さっさと起きろ、このバカ兄貴!」

ドアを開くなり、大きな声で罵声を浴びせるのは、咲也の妹 霧野楓叶きりのふうかであった。

「朝からそんな事言わなくたっていいだろ、それに、まだ起こすんじゃねえよ」

(くそぉ、変な起き方したからもう一度寝たいのに......)

楓叶に少しキレ気味に伝えると、

「はぁ、バカじゃないのこのバカ兄貴! 今日から学校でしょうが!」

「ん、ガッコウ?」

とぼけたような声を出しながら咲也は、カレンダーを見ると......

「......うぁぁぁ、今日から新学期じゃねえかぁ!」

「だから、そう言ってるでしょうがバカ兄貴!だいたいね......」

騒ぐ咲也に、楓叶がツッコミを入れる。

そんな、楓叶のツッコミをスルーしながら、咲也は登校の準備を始める。

「それじゃ行ってきます!」

まだ、何か喋っている楓叶を横に咲也は、急いで家を出た。

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