番外篇開始のための、はじまりの、あとがき(オモテ)


 長引くコロナ禍、皆さまは、お健やかに過ごしておられますか?

 お心の居場所は、ご無事でしょうか?

 日常の安寧と幸福が守られますよう、祈っております。


 令和三年六月十三日より、全九回で『アノレキシアの百合』の番外篇を公開致します。毎週日曜日に更新予定です。

 番外篇のタイトルは『アンドロギュヌスのヒナ』で、

 此方こちらのブックの連載を再開する形式カタチにしました。


『アノレキシアの百合』は、カクヨム登録以前にワードの中に眠っていた三十万字を起こし、約十一万字に大幅改稿した長篇でした。

 切り離した二十万字に着手しようとした矢先、まったく新しい領分に物語の続篇つゞきが流れてきたのです。このような具合に。


 ★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★

 十八℃の夜明け、雛鳥ヒナドリたちはき濡れた翼をひろげて巣立つ。

 初夏の陽光ひかり内部なかへと……。

 ★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★


 その二行が呼び水になり、一呼吸ひといきに書き上げてしまった約一万七千字。

 何か劇的なことが起こる物語と云うよりは、登場人物たちの日常を綴っており、其処そこに、かけがえのない過去の回想が流れる一人称でございます。病葉わくらばとして生きることから解放された生命のカタチをえがきます。


 番外篇『アンドロギュヌスの雛』は、本篇同様にコロナ禍以前、二千十六年初夏が舞台です。

 読んでくださる御方の感覚しだいでは、二千二十年以降、「変わってしまった日常」と、二千二十年以前、「変わらないと思われていた日常」の境界さかいが、ぼやけて揺蕩ゆれうごく違和感をおぼえられるかもしれません。

『アノレキシアの百合』に登場した少女の恰好フォルムをした少年・ミロクの視点で綴る、月彦つきひこ日芽子ひめことミロクの未来。十八℃の夜明けは、十八歳の嫩者わかものの夜明けに、成り得るでしょうか。

 こういうテイストのものが生まれるなんて、

 半年前には、まったく思っていませんでした。


 申し遅れましたが、カクヨムコンテスト、お疲れさまでございました。

『アノレキシアの百合』も、コンテストへの出品作でした。コンテストを通じて驚くほどに沢山の読者さまに恵まれ、お心からのコメント、レビューを頂戴しましたことを、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 中間選考通過は、私の結果と云うより、読んで感想を書いてくださった皆さまの応援の結果です。感謝しています。


 少し考えました。仮に何かの賞に輝き、結果を残したとしても、それは、はたして幸福なのでしょうか。

 私にとっては、あたたかく本作を見守っていただけた、その時点でう十二分に幸福でございました。

「たからもの」、そんな貴重な想い出を、まだ、あと少し積み重ねたく、連載を再開させていただきます。

 個人的に苦手な低気圧接近季節シーズン、すなわち片頭痛誘発季節シーズンではありますが、ゆるやかに執筆かきたい想いがくすぶって治まらないのです。困りました。


 春に私が患ってしまった眼瞼炎がんけんえんは、アレルギー性であり慢性でした。ゆえに、完治を急ぐのは止めて、持続可能な範囲で動きつつ治める方向で楽しみます。

 現在は生活を改善しながら、余暇で細々とカクヨム活動をしております。

 本篇連載時のように活発には動けず、所謂いわゆる、不義理を重ねております件、ご容赦くださいませ。


 番外篇開始のための、はじまりの、あとがき(ウラ)に、つゞきます。

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