48.美少女の正体
「キミ、話せないの?」
「
どうやら、美少女の正体は美少年なのです。
言われて見れば羨ましいぐらい、すらりと背が高く、少女に特有の余分な脂肪も見当たりません。そのフォルムは、アノレキシアの月彦と非常に近しく感じられました。
「なーんだ。そういうことか。たいした問題じゃないね。僕は、こんな
月彦は、あっさりと「たいした問題じゃない」と言い切りました。
美少女、
『そっちの彼女は? もしかして、アタシと同じような人?』
端末の編集画面に素早く打ち込まれた文字。
それを読み取った月彦が答えます。
「
「愛し合っているのさ❤」
久々に語尾にハートマークが見えました。初対面の相手にカミングアウトの末、のろけるだなんて、まったく恥ずかしい。こそばゆい。
相変わらず、月彦の脳シナプスは王子として絡まること無く、
『オススメは、ピューレの上質なマンゴージュース。この
エプロンドレスの美少年は、月彦の問い掛けの大部分を
「キミは性別を超越して可愛いよ。ゴシックも似合いそうだね。さて、僕たちも同じジュースにしよう。日芽子さんは
月彦は立ち上がり、ドリンクを求めてカウンターへ歩いて行きました。
私は、眼前の老婦人と、性別を超えた
『あの王子様のお姫様なのよね。一緒に暮らしているの?』
「はい。月彦くんには、お世話になりっぱなしで、一緒に暮らしています」
「ホホホ。お熱うございます。桜桃の模様の春らしい
「この衣装は、彼が見立てたのです。髪型も彼が」
『センス抜群。幸せそう』
私も私です。初対面の相手に何を話しているのでしょう。他人の幸福ほどつまらないものはないでしょうに、不可思議な孫娘くんは追求を
『性別を超越して可愛い。アタシのこと、そんなふうに認めてくれるんだから、彼氏さん、絶対いい人ね。いつも一緒にライヴ参戦?』
「一緒じゃないと無理です」
『そうよね。場慣れしていない感じするもの。でも、彼氏さんは慣れているよね。突然だけど、この三つ編みって本物?』
孫娘くんは、月彦が丁寧に編み込んだ私の三つ編みに触れました。
「自分の髪よ」
『綺麗。大切にしてね。アタシはエクステ。両親が石頭だから、仕方なく、昼間は意に反する男子高校生ファッションを甘受しているの。あと一年の我慢よ。大学生に成ったら
孫娘くんの、たったひとりの味方であるおばあちゃま。老眼なのでしょう。メール画面の言葉の遣り取りに目を
その落ち着いた姿は私の憧れでした。
長生きすれば自然に
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