9コール

ショウウィンドウの背中に隠れ

少し西陽を意識している

逆光の中の自分ならば

きっといつものように笑えているはず


昼の街から逃げ出したくて

一人こもった部屋のなかでも

夜に胸がつまれば

窓あけて 街の灯り見つめてる


どうして最後の最後になって

自分を騙せない


手を伸ばして 躊躇ってる

ダイヤル触れて まだ迷ってる

コール数えて 彷徨わせてる

自分の溜息に 唇を噛む


どうしてこんなに脆いものだと

知ったときにはもう戻らない

何も知らずにいても朝を迎えれば

同じ夜をまた笑い合えたのに


9コール目に 肩震わせ

浮かんだAM表示に 視線を逸らせ

瞼の中に 飲み込んだコトバが

耳から離れた アラームの先に

溢れてくる

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