クラリッサの受難

アルバムの中に閉じ込められ

永遠に笑みを塗り潰された記憶は

蕾のまま階下へ

投げ落とされる

剣を隠した悪夢さえも

閉ざされた扉を前に右手を躊躇い

誰もが幸せな眠りの中で

私だけ夜を許されない

砕かれた番いの貝殻


冷たい時計に嬲られながら

残忍な刃に両肢を割られても

束の間だけ死を偽れば

氷の心臓は決して血を流さない

いつまでも傷一つない無垢のままで

注がれる脈動も

全ての息の根も

止まってしまえばいいのに


硝子の中では笑いながら

過去たちが醜い傷を見せあい

文字を連ねている

全てが終わり夜明けを迎えるまでに

何度も

何度も

真っ赤な絵を描いてみる

何もなかったようにリセットされて

当たり前に動き出す朝が怖い

私の中にだけ

産み落とされた異常

ずっと前から流れなくなった血



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