わらい

凍てついた墓標に取り巻かれた

ホロドモールの氷原に置き去られ

ばら撒かれた白紙の冒涜

全てが偽りと知りながら日蝕の朝に

産み落とされ

全てが夢であればいいと願いながら

眠りを許されぬ夜

乱暴に焼かれた身体に燻る

残された最後の爪で

触れるものを皆灰にと

宙を切るのは

只虚ろなばかりに砕かれた燐光


徒に繰り返し振りかざされ

切り刻まれる

赤錆びたレールの上に並べられた

か細い緋色達が

鋭く軋む火花に次々と潰えていく

地獄の点滅と業火の報いに

泣き叫びながらも踏み止まれない

飛沫を浴びて無邪気にわらう白痴達は

指差すその先の恐ろしさを

幕が降りるまで知らされず


見えているのに見えていない痛み

生きたまま貪り食われる眩暈の中

全てを剥ぎ取られた血塗れの両手で

縛られた嗚咽に耳を塞いでいれば

捕食者の慟哭が果てるまで息を止めていられる

擦り切れるがままに0時の亡骸へ埋もれていれば

何にも気付かぬまま

綺麗なままでいられる

冷たい微笑



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