生首
癒えたはずの目印を暴く
饐えた吐息の気配に
正体を見破られた人形は
享楽の篝火にくべられ
晩餐に仕立てられた嬲り殺しの
饗宴
私にだけ灯されぬキャンドル
私だけ満たされぬグラス
鏡台の前に引き立てられた喰滓は
抉じ開けられた瞼の奥に
壊疽した腐傷を突きつけられる
只きらきら光る人工色に
魅了されるがままに
油に塗れた歯車に轢き潰される
蝿のように
廻り続ける幻燈機の前で
昨日されたことをもう一度
繰り返される
お願い
私の首を
返して
身代わりにされた人形は
恨めしげに視線を遠く
彷徨わせたまま
空から月が落ちない
どんなに願っても堕ちない
此処だけが文字盤から取り外され
誰の目にも映らぬ魔闇
首だけが宙に取り残されたまま
幻肢痛に血を流し
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます