夜猫

科せられた夢の時間を終える刹那

仕組まれた躓きに挫かれ

永遠に目覚めの機会を失い

途端狂ったような知らせの鈴は

凪に満たされた静寂さえも揺らす

この世の終わりまで猫たちの嘲笑は

止まない


芥子粒ほどの命さえも

散りはぐれた優しい梢の影から

嘘を零しながら牙剥き嗤う

今日の事を忘れぬよう

全ての瘡蓋を剥ぎ終えても

誰一人逃がさない


冷たい月が目を瞑っている間に

迷子が落としていった

蛇の抜け殻を集めよう

偽りが通じる束の間のうちに

沼の淵に逃げ込んでしまった

罪深い昼間の影たちを捕まえ

水面を紅く染めるのは

全て私を騙した猫たちの所為にして

同じ笑みで夜を贈ろう


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る