セロカモリィ

誰もが犯した後にその正体を前に目を

細める

気付かず潰した虫の臭いを引き摺りながら

夜毎芽生える復讐心に悲鳴を上げ

昼間なのに体温を感じない

違和感のない善意の手に

縊られた青白い供物


夜に心を奪われた束の間だけ

私を殺して

何よりも嘘が嫌いな月

交差する黄金色の針に踊らされ

時を忘れ我に溺れよう

眠りを破られる痛みは一度きり

熱に浮かされたどんな形の病葉も

鏡に立てば裸木しか映さない


悪意を許された傍観者に

夜の生存を許された

赤みの付いた銀色の鍵

ポケットのなかでむずがりながら

一瞬の泡沫さえも仔を孕むよ

慄きに耳鳴りにも欹てる

閉ざされた闇

一面の

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る