きかんか(忌歓花)

背けられた視線の先には

私に擬したスケープゴート

獣だけが見る

矛盾に満ちた霧の中で

追う側の生皮を被り

倒錯した時間を捲る


ただ冷たい黄昏の部屋で薄暮の予感に浸り

失意のなか目覚めを夢に描く

誰しも秘められたものに陶酔しながら

その存在を決して許さず

醒めかけた余韻のなかで繁り

自涜の果てに彷徨う


いつまでも咲かない花

青いままで踏み躙るため私が植えた花


幾度突き刺しても息を吹き返してし

まうから

こぼれた刃物に絡み取られ

続かない嘆きの棺の前で

過ぎ去った破滅が恋しい

もっと罰を

と求め足掻いても

肉の襞中を抉られた剥製さえもが知る夜の祝福を

私も誰も知らない


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る