廃止される駅。降り積もる雪。さあ、彼と少女の話を始めよう

 人気の無い駅に、少女が一人。定年間際の駅員は、その少女と会話を交わし、家族の事を静かに思い出す。
 ゆったりと流れる二人の空間を眺めて居ると、まるで透明な自分がそこに存在して、駅の端でそれを見て居るような感覚にさせられる。
 温かくて、冷たくて、優しいのに寂しい。
 まるで幻想のように綴られるこの物語は、読者の心にゆっくりと溶け込み、小さな灯を点してくれる事だろう。

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