相部屋

ツヨシ

第1話

内臓の病気で入院することになった。

病室は四人部屋だが僕ともう一人の二人だけだった。

その一人は、目も鼻も口もついでに声も大きい四十歳くらいで、青井良一という名のおじさんだった。

僕が部屋に入ったとたんに話しかけてきた。

「どこの高校?」に始まり、僕のことを根掘り葉掘り聞いてきたかと思ったら、今度は自分の会社の話、奥さん、子供の話とたたみ掛けるように話し出した。

僕は、はいとか、ええとかしか返さなかった。

いや、返せなかった。

その状態で一時間近く続いた。

僕はトイレが我慢できなくなったので、おじさんにそう言って病室を出た。

そこに病室に入ろうとした看護婦がいた。

看護婦は入口でふと立ち止まり、「あら忘れていたわ」と言って入口にあるプレートの僕の名前の上にある青井良一という名前を消した。

僕は振り返り、おじさんのいたベッドを見たが、そこには誰もいなかった。


       終

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相部屋 ツヨシ @kunkunkonkon

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