通学路の双子
如月冬樹ーきさらぎふゆきー
通学路の双子
……あの道のこと知ってるか。あの振り返ったら死ぬ道。
知ってる。三日以内に死ぬんだってね。でもそんなのただの
まあな……でも実際、足音が背後から聞こえたり、呼びかけられたりしたやつもいるらしいぜ。
まさか。今度あんたが振り返って見なさいよ。それでこの噂が本当かわかるわ。
おいおい、
夏の暑さはいつの間にか過ぎ去って、夕方になると
「お待たせ、待った?」
そう言って鳴は昇降口から私の元に
「全然待ってないよ。じゃあ行こうか」
私たちは楽しく話し合いながら、通学路を進んだ。
「そういえばゆかり、
と、鳴が聞いてきた。亜美は幼なじみで、三人でよく遊びに行くほど仲良しだ。
「亜美は絵のコンクールのために今日も部室で門限ギリギリまで絵を描くってさ」
「そっか。亜美は本当に絵が好きだよねえ」
「ねえ、知ってる?この道の噂」
特になんの
「知らない。どんな噂?」
「この道を通っている間に振り向くと三日以内に死ぬんだって」
「やだなあ、そんなの嘘でしょ。しかも振り向かなければ良いだけなんだから、そんなの簡単なことじゃん」
「でも色々と
そう言いながら私を怖がらせようと鳴は両手をお化けの様に体の前に出して、上から
「うひゃあ」
と私が怖がると鳴は満足そうに笑った。
「じゃあ通りますか」
鳴はズカズカと進んでいく。置いて行かれたくない
「あー面白かった。ゆかり怖がりすぎでしょ」
鳴は涙目になるくらい爆笑している。こっちの気も知らないで!全く!そうしてこの日は何事もなく家に帰った。
次の日は一人で帰ることになってしまった。
思えば、今までずっと私は同じ道で登校し、下校してきた。けれども昨日聞いた様な
「じゃあ
昨日あんなに怖がっていた私がバカらしく思えてきた。そう思いながら帰っているとまた例の道に差し掛かった。意を決して前進する。何事もなく通り切った。怖くなかったといえば嘘になるが昨日よりはマシだった。大したことないなと思いながら、勝ち
次の日、教室に着くや否や鳴が青ざめた顔で私の元に飛び込んできた。
「ゆかり、大変なの。亜美があの道で振り返っちゃった」
話によると、昨日鳴も一人で帰っていたらしい。その道中で亜美の後ろ姿が見えた。一緒に帰ろうと思い、おーいと呼びかけたのだが、そこがたまたまあの道だったそうだ。亜美は振り返ると、何かに驚いた様な顔をしたという。ただ、幽霊を見た時にするであろう、
「でもあんな噂、嘘に決まってるよ。三日以内に死ぬなんてある訳ないじゃん」
そう鳴に言った。
「まあそうだとは思うけど。でも亜美、なんだか様子が変なの。昨日振り返ってからどこか
私は心配になって亜美に話しかけた。
「亜美、鳴から聞いたけど大丈夫?」
すると亜美は私の
「あら、桜木さん。私は大丈夫よ。今日もきちんと朝ご飯を食べてきたし。とっても元気よ」
確かに変だ。なんだかよそよそしい感じがする。
ただの噂と思っていても、それだけで恐怖や心配が消えるわけではない。この画像を見た人は一時間以内に死ぬと書かれた迷惑メールを開いてしまったあの日は気が気じゃなかった。この三日間は鳴と二人で
「なんだ。何もなかったね」
と、私は鳴と話した。なんだかホッとした。やっぱりあんなのはただの噂だったのだ。
その日、私はまた一人で帰ることになってしまった。また宿題を提出せず、補習を受けていたからだ。ただ、後悔はしていない。亜美の命を守るための仕方がない
特に怖がる必要もなかったのでまたいつもの道を選んだ。そしてあの直線に
最初は
「どうして私が呼んでいるの」
私は
あの退屈な日々からやっと解放された。これから始まる新しい生活に、思わず胸がときめいてしまう。まずは何をしようか。美味しいものでも食べて
あの日からというもの、鏡を見るといつも「私」の後ろには私がいる。今日も
「カエシテ……カラダヲカエシテ……」
通学路の双子 如月冬樹ーきさらぎふゆきー @kekentama
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