第一幕 天変地異
第一章
第1話
里村 修也は突然奇声を上げた。ここは病棟だというのに。
「急性骨髄性白血病?!」
「その可能性が高いですね。まだ正確にそう決まったわけではないので、明日に精密検査をする予定です。」
急性骨髄性白血病とは、がんの一種で、血液を造る骨髄で異常な血液細胞が造られる病気のことだ。
致死率はかなり高い。
「そうですか…では社長は、」
「はい。もうあまり長くないかもしれません。」
彼は看護婦さんに会釈すると、病室を出た。
ついに自分の時代が来たという喜びと、長年の上司が亡くなってしまうという悲しみで、彼は複雑な心境だった。
行きと同じ道を通り、彼は職場に戻った。
事務さんに一声かけると、先程連絡をくれた執事以外の、社長の側近3人に連絡をした。
「社長が倒れました。30分後、会議室Cで会いましょう。」
やはり、数分後に現れた彼らも奇声を上げた。
「急性骨髄性白血病?!」
「また確定した訳ではないんですが…おそらくそうだろうと看護婦さんが。」
素材管理部の井上 久志が尋ねる。
「ちなみに病院はどちらですか?」
「桜木△△病院の342号室です。」
「ああ。あそこか。」
経済経理部の賀川 啓夢がそう呟くと、4人は本題に移ることにした。
「それでは、もうあまり長くない社長に安心して眠っていただくため、最後の大型企画を立ち上げようと思います。」
時計の針 Chromewrite(クロムライト) @SoutaBook
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