第3話教師の実力

その後、一通りの試験が終了し受験者は学園の中庭に集まっていた。


「では、受験者の皆さん!集まってください!クラス分けの結果を発表いたします!」


その瞬間、空間に静けさが広がった。一人は喜びを、一人は悔し涙を、または落胆を、その感情が空間を覆った


『――よっしゃー!』


『クソッ!』


その静けさを破る喜ぶ声と悔しさが混じった声


俺はSクラス合格。つまり現在はこの学年の上位に居るということだ


「なあ、一番上にお前の名前があるけど、どういう事だ?」


「Sクラスで合格したって事だ」


「まあ、良かったな」


クラス分け発表が終わった後俺は家に帰った


◆◆◆


その次の日俺はSクラスの教室に向かった


俺は教室のドアに手を掛けゆっくりとドアを開けた


「・・・」


凄いな、皆からすげー痛い視線を感じる


痛い視線を受けながら口ごもっていると不意にドアが開いた


「はーい、皆席に着けー、HRを始めるぞー」


後ろから俺の背丈を二回りも大きい男が現れた


「はい、皆席に着いたようだな。じゃあ、自己紹介からなルセル・ジェンタって名だ。冒険者時代はSランク冒険者にはなったな」


Sランク冒険者は国に片手で数えるほどしかいないそれ程までにSランク冒険者は珍しいのだ


「まあ、初日なんでな、やる事はどのクラスも同じだ。教師との模擬戦だ」


この後、Sクラスは全員第三訓練場に集まった


「じゃあ、誰からやる?」


「じゃあ、俺からやらしてくれ!」


最初に手を上げたのは高身長で筋肉質な男だ


「ああ、最初はルーグか」


その後ルーグは二カっと歯を見せ笑いながらステージに上がった


悪魔装甲デモンウェアの装着は?」


「許可しよう」


「では――」


その瞬間、ルーグの体が光りだした


光が収まったころにはすでにルーグは悪魔装甲デモンウェアの装着を完了していた


「装着完了。魔力供給安定。強化魔法 全ステータス 大アップ」


魔法も使ったルーグの体は悪魔装甲と相まって通常の二回りぐらい大きくなっていた


そのまま一気にルセルに急接近からの正拳突き、それを見てから避けるルセル


そのまま体を捻りなが反撃を出すルセルだがルーグもギリギリのところで二歩下がり避ける


宙を空ぶったルセルの拳からはブオンと到底生身から出しているとは思えないような音が鳴った


「なかなかやるね」


「へ!平民だからな、小さいころから狩りはやっていたし、危機管理はそれ相応に身についてんだよ」


そしてまた、ルセルにルーグは向かっていくがギリギリのところで右折そのまま俺達の視界から消えた


突如ルセルが上空へ向かって魔法攻撃を行った


魔法が飛んでいく方向を見ると上空から自由落下してくるルーグが見えた


空中だから身動きが取れないルーグは魔法攻撃を受け墜落


訓練場に激突音が鳴り響いた


「いたたー、クソ!バレてたか」


「消える前に上に視線を向けながら魔法を発動しようとしてたからな」


「視線かー」


「まあ、悪くない戦法だ。B級冒険者までなら余裕で通用するんじゃないか?」


そう言いながらルセルはルーグに手を伸ばした


「そう言ってもらえると嬉しいっす」


ルーグもその手につかまり立ち上がり観客席に戻った


「さて、次は誰だ?」


「じゃあ、俺にやらせてください」


「お、デモンドやるのか?あいつと」


「へー、喋れる悪魔なんて。珍しい悪魔と契約したようだね。デモンドは」


その瞬間、少しだけ先生の目つきがきつくなった


「喋れる悪魔とやるんだったら俺も悪魔装甲を着ようかな」


『!?』


生徒全員が驚愕に顔をゆがめた、Sランク冒険者が一般生徒に悪魔装甲を装着するという予想外に


「分かりました」


『!?』


それを受け入れたデモンドにも


「じゃあ、始めようか」


その瞬間、二つの存在の魔力が会場を覆った


次の瞬間、紫色に輝くルセルの悪魔装甲と真紅に染まっているデモンドの悪魔装甲が姿を現した


「へえ、ここまでの魔力は久しぶりだな」


「俺も初めて本気を出して戦えそうです」


二人が動いたのはほぼ同時だった


ルセルが鳩尾に拳を出すとその攻撃を掴みながら捻りながら顔面に拳を繰り出すデモンド


「ん~?」


戦っている最中に何故かルセルが攻撃を止めた


「なあ、魔法攻撃が出来ないんだがもしかしてお前の仕業か?」


ルセルは笑顔になりながら聞いてきた


よほどの戦闘狂なのだろう


だから俺は率直に言った


「俺の能力です。いや、正確にはイブリールの能力です」


「なるほどな」


「ええ、ちなみに自分は魔法を使っても通常時の0.5倍の効力しか出せません」


「面白い」


その瞬間、ルセルの笑顔はより不気味になった


空気は張りつめあと少しでもどちらかが動いたら勝負が付くそういう雰囲気を醸し出していた


その時なぜかルセルの殺意が消えた


「先生どうしたんですか?」


「・・・そういえばコレ授業だよな」


「・・・あ」


「はい、とういう事で終了、いやぁ、名残惜しいなこうも強い奴と戦うとな。デモンド観客席に戻ってくれ」


「はい、分かりました」


内心俺は安心していた、俺はあの時使おうとしてしまった。


――本気の自分を


第三話終了

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少年、反逆の悪魔と楽しく学園生活を謳歌する 厨二赤べこ @sakedaruma

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