彼の癖、彼女の癖

ポンポン帝国

彼の癖、彼女の癖

 いつも観察しているからこそわからない癖が、彼女にある。


 いつも観察しているからこそわからない癖が、彼にある。


 彼女は、僕に話し掛ける前に必ず彼女の親友の顔を見る。


 彼は、私に話し掛ける前に必ず彼の親友の顔を見る。


 僕が登校して席に着いて、おはようの挨拶をされる時や、


 私が下校するのに、さよならの挨拶をされる時にも。


 昨日の他愛のない世間話や、


 一昨日の兄弟の愚痴も。


 話し掛ける前に親友の顔を見ている。


 本当は親友と話がしたい?


 いつも観察してるからこそわからない癖がある。


 なんだろう? 彼(彼女)の事がわからない。







 僕には、親友がいる。


 私には、親友がいる。


 僕は、親友にある相談をしている。


 私は、親友にある相談をしている。


そう、僕は彼女が好きで好きで仕方なく、どうしたらいいのかわからない。


そう、私は彼が好きで好きで仕方なく、どうしたらいいのかわからない。


けど、おかしいんだ。僕は(私は)真剣に聞いているのにいつも笑われるんだ。






ある日、僕は親友に聞いたんだ。


ある日、私は親友に聞いたんだ。


「何で、彼は(彼女は)僕と話をする前に親友の顔を見るの??」


親友はタメ息をついた。


「では聞こう。それならばなぜ君は、話しかける前にこちらを見るんだい?」


なぜ見るのかって? そりゃ、彼(彼女)と話す前は、緊張しちゃうからどうしたらいいか、確認する癖がついちゃったからだよ。


親友は、更に深いタメ息をつく。


「君たちの癖はそっくりなんだよ」


僕たち(私たち)の癖がそっくり? それって……。


「「あっ、、、」」


その時、二人の目があった。

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彼の癖、彼女の癖 ポンポン帝国 @rontao816

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