第2話

「ウチが死ぬと悲しい?」

「悲しくないよ。全く悲しくないよ。うんざりだよ。もう生まれてくるなよ。少なくとも俺の傍に生まれてくるなよ。俺はお前の過去生をいくつか知っている。お前はいつも同じことの繰り返しさ。ループだよ。親しい人間に自分が死ぬと悲しいかと確かめながら、見せつけながら死んでいくんだよ。うんざりだよ。お前にとって自殺は媚薬のようにうっとりするイベントだろうが、周囲の人間はうんざりしているんだよ。もっと建設的なことに目を向けろ。」

 コウヘイは、はっきり言う。運動ができるスポーツマンだが、異世界の話もする。ナギサはコウヘイに出会えて幸せになった。もう夜は怖くない。コウヘイにくるまって眠るから。

 コウヘイはナギサとの過去生を、同棲してしばらくした頃に、突然、思い出したそうだ。「失敗したー」と言っていた。ナギサは何も思い出せない。ただ、コウヘイがナギサにとっての運命の人のような気がしていた。




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マリコ @kawaranaimono

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