静かに祈る、空白の五分間。

 弟が亡き兄に宛てた書簡体小説。
 主人公の兄がたった十歳で一人新幹線に乗ったのは、主人公が生まれてくる日と重なったからだ。その新幹線が、事故を起こして、兄は主人公に会うことなくこの世を去った。主人公が生まれたのは、兄が死んだ五分後だった。
 この五分を、主人公は祈りの時間とした。
 たった五分。
 されど五分。
 長く、空白のままの五分間だ。

 主人公の正直で真摯な姿に、心を打たれます。

 是非、ご一読ください。