第9話 俺の傍に
稔樹の所にしばらくいる事にした私。
「稔樹」
「何?」
「ずっとここにいる訳にはいかないから部屋見付けて出て行くね」
「辞めとけっ!」
「えっ?」
「俺の所にいて貰って良いから」
「でも……」
「俺が気が気じゃない!」
「稔樹……」
「だから絶対に勝手な事はするな!」
「……分かった……」
ある日の事、私は家に戻ってみた。
自分の部屋に行くと、一通の封筒が置いてあり中身を見ると母親からの手紙が入っていた。
そして、印鑑と通帳もあった。
その日の夜。
「ただいま」
「おかえり」
「麻魅」
「何?」
キスをする稔樹。
ドキッ
「ちよ、ちょっといきなり何?」
「キスしたくなったからキスしただけ」
「えっ? キスしたくなったからって……」
「顔は赤いけど?」
「不意のキスは反則だ……」
言い終える前に再び唇をキスで塞がれた。
角度を変え何度もキスをする稔樹。
「なあ、後でお前の事抱いて良い?」
ドキッ
意外な言葉を言われ大きく胸が跳ねる。
「な、何言って……私達は……」
「悪い……だよな……シャワー浴びて来る」
「う、うん……」
私の頭をポンとすると
稔樹は脱衣場へ行った。
「………………」
私は稔樹が好きだって言える。
でも、稔樹の想いは分からない。
シャワーを浴びて戻って来る稔樹。
「稔樹」
「ん?」
「今日、家に戻ってみたんだ」
「うん、どうだった?」
「誰もいなかった……でも……もう、あの部屋には誰も戻って来ないからって……置き手紙と通帳と印鑑が置いてあった」
「そっか」
「ねえ、稔樹、私このままここにいるわけには……」
私の隣に腰をおろす稔樹。
そして、肩を抱き寄せた。
「そんなに一人暮らししたいの? 学校行ってバイト行って自炊して。家事全般一人でしないといけないのに?」
「……それは……」
「どうしてもって言うなら別に構わないけど、女の子一人暮らしは正直、危険過ぎるし勧めねーけど」
「………………」
「でも……私は稔樹の事好きだけど、稔樹は私の事好きじゃないんでしょう? 私が行く宛ないから面倒見てくれてんでしょう? 第一、私……迷惑ばかりかけてるし……」
「麻魅……」
「ごめん……私の想いばっかで……稔樹は何も悪くないのに……お世話になってるのに……自分勝手な言い分……」
キスをする稔樹。
ふわりと抱きかかえ、お姫様抱っこをすると、ベッドに優しく乗せると私の上に股がった。
ドキン
「と、稔樹……ま、待って私達は……」
稔樹はキスをし深いキスをした。
「……麻魅は……俺と離れ離れになって良いの?」
「だって!…… 稔樹は私の事……私達は恋人でも何でもないのに……私は稔樹の何? ただの居候なんだよ……」
「俺がハッキリとしていないから辛い思いさせてんだな。お前はいて良いんだよ」
「稔樹……」
「ずっといて良いから……俺、お前の傷付くの見たくねーんだよ……」
「………………」
「だからずっと俺の傍にいろ! 麻魅」
稔樹は私に優しく体重をかけ、抱きしめた。
「一緒に暮らそう」
ドキン
そう言うとキスをする稔樹。
「俺の事、嫌いになったら出て行って貰って良いから……つーか嫌いにさせねーけど」
「……稔樹……」
私達は1つになった。
「麻魅……愛してる」
ドキン
「稔樹……」
私は稔樹に抱き付いた。
あなた以外愛せない ハル @haru4649
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