第36話 脱出
アクタが「
いったい、どこにある?
彼は絵地図になめるような視線を送って、その名前を
あった――
人首山、
朽木市のブロック分けでいうと、現在地である
ここからなら
よし、そうとわかれば。
いや、待てよ……
ウツロにはひとつ心当たりがあった。
静かに階段を降り、彼は医務室へと向かった。
誰もいない……
ウツロが最初にいた場所、横になっていたベッドの真向かいのデスク。
きれいに
「……!」
やはり、ここだったか――
デスクと壁の
あの女、
俺にとって一番の
師・
これだけはどうしても、捨ておくことはできない。
彼はそっと、黒刀を隠し場所から抜き取った。
さて、あとはここを出るのみ……
これもやはり心当たりがあった。
次に彼は、反対側の食堂へと向かった。
あの食堂は建物の北側にあった。
そこなら地理的に山側にも近い。
ウツロは感覚器官を
テラスの
なんだか
これではまるで、脱出してくださいと言っているような感じだ。
しかしそうだとしても、いまは
アクタが、お師匠様が、待ってくれているのだ――
ウツロはくだんの
この様子をつぶさに観察していた
星川雅――
彼女だ。
開いたドアに体を
さあ、どうするか……
最高の
邪悪な
*
「ウツロくん、服を
開いたままのドアから
「トイレかな?」
気になって部屋へ入った彼女の目に、テーブルの上にある
「これは、雅の字?」
ウツロくんが人首山へ呼び出された
わたしは先に後を追う
龍子、柾樹、早く来て
「たいへん……」
開け放したドアを
「龍子、どうした?」
「柾樹、これっ!」
「マジかよ……」
「何か、
「ああ、俺もだ。急ごうぜ!」
あわてた二人は、ドアを閉めるのも忘れ、その場を後にした。
階段から転げるように降りていったあと、向かいの部屋のドアが、静かに開いた――
(『第37話 再会』へ続く)
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