2話  状況整理と導入

 「本当に?…僕死ぬのか…?死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないっ‼」

俺の隣にいる眼鏡をかけた男性はとてつもないほどのパニックに陥っている。

 こんな状況のわりに冷静な俺だが、感情が爆発すれば大声で泣くだろう。

「落ち着け!これからは今ここにいる五人で行動しようと思うんだけどどうかな?」

ここにいるのは俺とパニックに陥った眼鏡の男性、ベレー帽を被り眼鏡をかけた女性

髭を生やしたワイルドな年寄りとスポーツマンであろう女性。

「一人でいるよりは安全だろう。俺は賛成だ」

「私も助け合いが必要だと思うので賛成です」

「あたしはどっちでもいいよ」

これで四人の合意はとれた。

「おい眼鏡、お前もそれでいいよな?」

「…おれは眼鏡じゃない、ドワイトだ。僕も賛成する」


 全員の合意を得たので自分が何が得意かなどの軽い自己紹介をしてもらう。

「俺はビルって名前だ。昨日までは海軍で教官をやっていたが目が覚めるとここにいた。得意なことは戦闘やサバイバル技術、どんな時でも冷静なことだ。持ち物は燃え尽きない葉巻だ」

軍人とは頼もしい。

映画などだと軍人や経験豊富なものほど怯え逃げる人が多いが、この人はとても頼もしそうに見える。

燃え尽きない葉巻って事はいつまでも吸っていられるたばこって事か。


「私はモレル。昨日まで薬などの…まあ簡単に言えば葉っぱ屋をやっていました。医学に詳しくて、色々な種類の薬草が分かります。怪我をしたら言ってください。持ち物は無くならない医療キットです」

薬草か…。

ゲームマスターが親切なら薬草を生やしているのだろう。それでも無限の医療キットとは、この人も頼もしい。


 あたしはメグ。運動が好きだから走る速度には自信があるわ。障害物を乗り越えるのも得意だから、おとりになれるかも。持ち物はスポーツシューズ」

自分からおとりを名乗り出るなんて頼もしい。俺たちのチームにハズレはいないんじゃないか?


「ドワイトは何が得意なんだ?」

「僕は本をよく読んでいたから、ページをめくるのが早いんだ。だから図鑑からいち早く殺人鬼の特徴などを説明するよ」

ただの臆病かと思ったらしっかりと長所があった。あとは…。


「最後はお前さんだぜ。さっきから仕切ってるけど、アンタは何ができるんだ?」

「俺はジェイク。多少の痛みになら耐えられる頑丈さとリーダーシップが取り柄だ。皆に比べれば全然大したことはできないけど、よろしく頼む」

「まだアンタを信用できないし、命は預けられない。追々頼むよ」

「結構いい感じのメンバーなんじゃないか?これなら生き残れるかも⁉」

ドワイトがその言葉を放った瞬間、辺りがしんとなった。

…………それはフラグってやつだ。



 時刻は昼を回ったころ、五人で森を進むと街灯よりも少し大きいスピーカーがあった。

「ドワイト、あれは何だ?」

俺の質問に図鑑をパラパラとめくる。

この図鑑はこの島でのよくある質問などを想定されいくつか書かれ、時計がついている。

「あれは見たままのスピーカーだね。島の至る所にあって聞き漏らしが無いようにしているんだ。これからゲーム内容が知らされたりするらしい」

なるほど…ここからか。

例えば殺人鬼が追加されたり排除されたりしたら放送されるのだろか。

「ゲームマスターは無限の葉巻や医療キットなどを作れるうえ、言語すら一緒に出来るやつだ、魔法使いと考えた方が普通だ。さっき実物を見ただろ?絶対に侮辱するなよ」

流石に心の中までは覗けないと信じたい。

…試してみるか。

ゲームマスターのクソヤロー!死んじまえ‼

…………………………………………。

……………………良かった!大丈夫みたいだ。


『もしもーし!死神放送のお時間でーす!』

唐突にスピーカーから死神の微笑みをしていたゲームマスターの手下からの放送が入った。

『ただ今から、三体の殺人鬼を導入しまーす!最初なので優しめの殺人鬼を選びました!皆さん頑張って生き残ってくださーい。では皆さん……死んでらっしゃい』

またもや矛盾のセリフで放送は終わった。

…………遠くから複数の雄たけびが聞こえるのは俺の気のせいだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キラー・エスケープロイヤル Ryuu65 @saikounasekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ