魔王と異世界とチートばかしの人間の授業

名もなきG

2020年9月26日 9:57


「先生! なんで神様はチートで人間に肩入れするんですか! 実力で頑張ってる魔王君が不憫です!」


――――――――――――――――――


異世界学級は騒然となった。

何故なんだ! 勉強すれば、真面目に努力して頑張ったら報われるから!

僕たちは勉強してるんじゃないのか!

もしかして裏口入学してるような人間ばっかりなんじゃないのか!

チートで卒業して飛び級でハーレムする格差社会!

もう学校辞めるよ!


生徒たちの騒ぎが収まるまで先生は糸目スマイルで待っていた、

皆が騒ぎを辞めるまで、七時間かかりました。


「それはね、

 チートばかしの人間で異世界強度をはかってるんだよ」


「異世界強度!?」


異世界強度、それは異世界自体の持つ丈夫さの指標、

この異世界強度が低いと異世界で自由に魔法をぶっ放せないし、

地面に大穴をあけるようなパンチも打てない、

神様が大洪水起こしただけで簡単に絶滅する。

なので異世界を丈夫に保つために異世界強度検査をたびたびする必要があるんだ。

チートばかしの人間で簡単に壊れるような異世界は、

神様にとっての欠陥品、いわば異世界に住んでる全住民が訴追したら、

簡単に謝罪と賠償金クラスの問題になるからだね。


「先生! それは魔王君が不憫なのと何も関係ないじゃないですか!

 魔王君は学校で一杯勉強してやっと卒業したのに!

 千年も万年も異世界に住んでるのに!

 たかだかやってきて数日のチート人間に欠陥住宅だから

 追い出されるなんて間違ってますよ!

 これは明らかな差別です!」


「でも魔王君はずっと不安だったんじゃないかな?」


才能があれば成り上がれる、勉強すればどこまでも賢くなれる、

けど根本的な解決にはなっていない、この異世界の耐用年数はあとどれくらい?

妻を持ち娘や息子を作って平和に過ごせる理想の住環境なのだろうか?

もしかして異世界限界なのでは? 勉強だけではわからぬ現実の問題があるのでは?


異世界先生はチョークで黒板に図解で示しながら異世界強度を補足した。


「えー太古の時代、チートばかしの人間たちが異世界強度をはかってるこの

 段階は、実を言うと神様が作った大規模異世界シミュレーターで

 異世界が崩壊するチート検査が行われてるんだ

 この段階で崩壊してしまう異世界というのは

 神様にとっては見積もりががばがばなので魔王君には毎回賠償金を払ってる

 それが理由としてどの異世界でも魔王君は優等生として

 世界の敵代表をかって出てシミュレーターの理論数値に挑み続けてるんだ

 つまり君たちも勉強と努力次第では魔王君みたいに

 異世界シミュレーターのチートベンチマークテストに付き合える

 立派な大人物になれる、これは努力の甲斐あってのものだね

 皆さんはチートみたいなことはなかなか出来ないと思うけど

 それは異世界学級が何兆とおりもの異世界強度検査に耐えた証拠であって

 みなさんも努力次第ではチートを越えれるけど

 世界を滅ぼすことは出来ない、チートばかしの人間の時代でも

 破壊できずに残ったのが、この異世界学級だからね」


異世界先生は長い語りを終えると


「これはテストに出すから、みなさんもノートに取っておくんですよ

 おっともうこんな時間だ、今日の授業はここまで

 チャイムを鳴らそう」


キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン

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異世界先生 ウゴカッタン @kak16kyou

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