ツイッターを初めてブロックされた男

木谷日向子

ツイッターを初めてブロックされた男

○会社・中

   ナツオ、デスクでスマホをチェックしている。

ナツオ「はぁ!? ツイッターブロックされてる!!」

   目を見開き、口を大きく開けるナツオ。

秋田「ん? どうした。会社でんな大声出すんじゃねえよ……」

ナツオ「いや、今年の春から趣味のコミュニティに入ったんだけどさ。そこでsnsや

 ること推奨されてて、あんまやってなかったツイッター始めてみたのよ。したら、

 TL以外でほとんど関わり無かった人で結構過激な感じの発言する人がいてさ。こ

 の前ちょっとだけズームで話す機会があったから話してみたんだ。んで後日dmで

 昨日はありがとうございましたっつう内容のメッセ送ったら即ブロくらった……」

秋田「あーそういうこと」

ナツオ「意味わかんねえ。しかもログアウトしてその人のツイート遡ったら、これタ

 イミング的に絶対俺の事だろっていう誹謗中傷が酷ぇ言葉で書いてあんの。こんな

 ん今までの人生で生きてて他人から言われたことねえぜ……。マジへこむわ」

   青ざめるナツオ。

秋田「あんま気にしないほうがいいって。そういうのとは関わんないほうがいいよ。

 ネットだけの人間関係なんていろんなやついるからさ」

ナツオ「……ん?」

秋田「またなんかあったのか」

ナツオ「他の人で結構仲良くしてくれてた人からlineが来て、ナツオさん、ツイッタ

 ーのdmグループ退会したんですかっていう話なんだけど……」

秋田「見して」

   秋田、ナツオのスマホに顔を寄せる。

秋田「あーdmって誰かが誰かをブロックすると強制的に退会させられるらしいな」

ナツオ「え、そうなの? 初めて知ったわ」

秋田「多分この過激な発言してた人がお前の事ブロックしたから、退出した感じにな

 ってんだろうな。他の人はその事に気付いてねえ」

ナツオ「マジかよ……。オレその人に何もした覚え無いんだけど」

   秋田、ナツオの手からスマホを受け取り、ツイートを遡る。

秋田「確かにお前のツイート遡ってみたけど、特にあたりさわりあること書いてねえ

 な。むしろ平凡な日常生活ツイートばっかでつまんねー!!」

   大笑いする秋田。

ナツオ「うっせえ!」

   ナツオ、立ち上がり秋田からスマホを奪おうとする。

   秋田、避ける。

   ナツオ、怒った顔から段々と俯き、落ち込んだ顔になる。

ナツオ「俺が何か悪いことしたのかな……。この人がここに書いてるように、オレっ

 てそんなに悪い人間なのかな」

   秋田、真顔でナツオを見つめる。

   頭を掻き、顔を逸らす秋田。

秋田「お前の事そんなに知りもしねえ奴がテキトーにほざいたことなんか気にすんな

 って。他にも結構過激な発言してたんだろ? なら良いって。別に気にする必要な

 いだろうが。最初に合わないなって自分でも思ってたんだろ」

ナツオ「……まあ。今まで会った事ないタイプの人間だったからな」

秋田「合わないのに無理して付き合う必要無いじゃん。それと一緒で嫌な奴向こうか

 ら離れてくれてラッキーだったと思えばいいんだよ」

ナツオ「そうなのかな……」

秋田「そうだって。ネットの中でしかつながりの無い友情なんてすぐ終わる。けど

 さ」

   ナツオの肩に腕を回す秋田。

秋田「俺らの友情は永遠に続くだろ?」

ナツオ「秋田……お前」

   惚けた顔で秋田を見るナツオ。

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ツイッターを初めてブロックされた男 木谷日向子 @komobota705

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