秋霜、我龍転生

&α 我龍転生

「ただいまああああ」

「お姉ちゃん。おかえり」

「龍馬のことおしえてええええ」

「この前教えたでしょ。隣の席の子と仲良くなれたなら、それでいいじゃない。あとは適当な理由つけて、命日に死んだみたいな感じに装っておきなさいよ」

「龍馬が暗殺されたなんて知らなかったよおおお。しかも11月って言ったけど12月だって。こよみがなんとかって。こよみってなに？」

「あっそっか。指導要領変わったんだっけ。ごめんごめん。私の教科書にない記述だもんね」

「鍋の毒で死んだって言っちゃった。ばれちゃったかなああああ」

「お」

「ん？」

「暗殺されたとき、龍馬、鍋食べてたよ。なんとか隠し通せるんじゃない、その嘘」

「あれが役に立ったよ。数学のやつ。あと官僚がどうとかいうやつ。また教えて？」

「官僚の例えはよくないかもしれないなあ」

「えっそうなの。てか、官僚ってなに？」

「妹よりも学力低いんだよなあ」

「ね。おねがい。隣の子とどうしても仲良くなりたいの。好きなの。あわよくば同じ大学に行きたいのよ。おねがい。なんでもするから」

「夜ごはん」

「夜ごはん？」

「おかあさん、鍋作るって言ってたから。いまからスーパーに走って、秋の味覚買ってきて。お鍋に足すから」

「秋の味覚？」

「きのこよ、きのこ」

「それだけでいいの？」

「いいけど」

「ありがとうわが妹。姉はうれしいぞっ。いってきますっ」

「いってらっしゃい」