第3話 通報

第肆話 交差する音色

 カチッ‥カチッ‥カチッ‥カチッ‥


「イヤです。一番弱いとこなんです。すいません」


「ダメなん」


「はい。決して足に触れないでください」


 真剣な表情で、将棋盤に向かっている渡部は独特の緊張感に固く凍らされる。

 そこで自ら話題を振り、場を和ませる。

 過ぎていく秒針の音と将棋の指す音がひたすら交わる。いよいよその沈黙がついに解かれた。

 最大限の精神力を振り絞り、出し切ったであろうと、そっちに視線を送れば、それはとても清々しい表情だった。


「例のホテルって知ってる? 」


「たしか、雑誌で見た気がする」


「そう。あのホテルでの事件なんだけどさ、GMが絡んでいるらしい」


「GM? 」


「強力な組織が水面下で動いていて、外部の人間からでは直接触れることができないんだ」


「何か怖さを感じます」


「ミステリーに関しての情報とか気になるタイプなんだけど。これは関わらない方が良さそうな案件だよな」


「同感です」


「中には、あっちに行ったきり、戻って来れないって聞くしな」


「ひぃー。怖いです」


「あっちに連れて行かれる時って、足から引き込まれるんだよな」


「本当ですか、信じたくない」


「まあ、一成くんは優しいからな」


「やめてください。せめて腕からにして」

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百一回目のバッテン DarkPython<bl> @macT

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