「外伝」ということばでくくってしまうのがもったいないような、一話一話の密度が濃い、名作揃いの短編集です。どのTrackが特に好き……というお話をしようと思ったのですが、どれも好きすぎて決められませんでした。
本編である「THE DEVIL [Remastered]」冒頭ではすでに命を落としているルネはどんな青年だったのか、ユーリとルカとテディはどのように出逢って一緒に活動するまでに至ったのか、「ジー・デヴィール」というバンド名はどのように決まったのか。
そして、“あの動画”はなぜ流出してしまったのか――。
本編を読んで気になったことへの、完璧以上に完璧な答えが、ここにあります。
本編では出番の少なめなドリューの内面やジェシのロマンスも綴られますし、作者様もキャプションに書いていらっしゃるとおり、「THE LAST TIME」も読んだ方なら驚き喜ばずにはいられないゲストキャラも登場します。
口が悪くて人づかいも荒いものの、根は優しくて面倒見の良い、下宿の主人「オルガばあさん」も、読者の心をとらえて離さないキャラです。私にもあっつあつのグラーシュを下さい……できればクネドリーキも添えて!
「THE DEVIL [Remastered]」を愛する方なら読んで損はない……いいえ、読まなければ絶対に損ですよ!