そして、哲学人間は朽ちていく。

第1話

ある男がいた。

一見すると、

何ら変哲もないその人は

ただ思考していた。

何故、その男は思考していたのか？

そこには世の人との大きな乖離があった。

彼から見ると、

社会というのは魑魅魍魎、複雑怪奇

そういったある種の異次元空間と捉えていたのかもしれない。

そんな中で、彼は必死に思考をしていた。

それは紛れもなく、

「社会とはなんたるか、そして自分とはなんたるか」

である。

彼にとって

自己と社会の関係を明白化させるのに

思考こそが唯一の武器であった。

そこで彼は

そのなけなしの思考と

僅かな行動力を持ってして

底なし沼にしか感じられない

社会というものへの理解を深めようと

考えるのであった。