【第一章】変化
…
……
「…や」
…?
「まや!」
…、ん。眩しい。寝起きで頭が回らないのだろう、状況が整理できない。
やっと起きたね、と隣でパッチリ二重の可愛らしい顔立ちをした彼が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。中学校時代からの友人Hだ。
どうやら彼のマンションの階段で他愛もない話をしていたところ、いつの間にか寝てしまっていたらしい。
私が一言「おはよう」と、肩にもたれ掛かった時、Hは顔を逸らした。
それから、何事も無かったかのように自分の鞄からゲーム機を取り出し、一度伸びをして、私に「おっしゃ、久しぶりにス○ブラしようぜ」と沢山のキャラが乱闘をするゲームに誘ってきた。決して得意ではなかったが、Hがあまりにも輝いた目でこちらを見てくるので、ほんの少しだけ、わくわくしながら一緒にゲームをした。
惨敗だった(笑)
彼は昔からゲームが上手い。勉強は決して得意ではなかったけれど、絵を描くのも、走るのも、歌うのも…あと何か作るのも上手だ。
私は、そんなHが好きだ。
…そして彼も私が好きだった。
隣に座れるだけで幸せで。この時間が続けばいいと、何度願ったことか。
まさか二人で会える日が来るなんて、出会った当時には思いもしなかった…が。
あの日から私達は変わってしまったのだ。
(20ーー.4)
私、H、女友達Nの三人は、とてもが付くほど仲が良い。一年生の頃、私が共通の友達として、二人を会わせてみたのだ。思った以上に意気投合し、三人で遊ぶことが増えた。
他にも友達はいた私だが、一人だけこの二人の他に、親友と呼べる存在がいた。その子はM。学校で上手く行かなくなり、不登校になってしまった…。当時の私は学校でMに会えない私にとって、HとNが私を差し置き、親友のように接しているのが羨ましかった。
私が紹介したのに、という嫉妬もあった。
今となっては、子供らしい考え方だったなと思う。
後々、三人だから遊んでいる、という謎の雰囲気になり、個々で連絡を頻繁に取ることが減っていった。
ある日、三人で遊ぶ約束をしていたところ、Nが突然の用事で来られなくなってしまった。Hにその旨を伝えたところ、「じゃあこの機会に二人で遊ぼう。まやと二人で遊んでみたかった!」と想定外な返答をしてきたので、「わ、わかった!」と、食い気味にOKした。
急いで帰宅し、気になる男の子と二人で遊ぶのだ、と中学生なりに少しだけおしゃれをして行った。
…お母さんの香水を勝手に借りた。
鼻歌を歌ってしまうくらいテンションが上がっていた私は、気が付かなかった。
――は―だと知らなかったのだ。
純粋故に、わからなかったのだ。
彼のマンションに到着した私は、少しソワソワしながらインターホンを鳴らす。
「あ、今開けるね〜」
Hの声だ。
家の前に着くと、Hはいつも話していた階段で待っていた。
「よっ!」
…その日、Hは何故か一段とかっこよく見えた。
髪をかきあげる動作、ポケットに手を入れた時、後ろを歩く私に振り向いて笑う顔、私より少し高い背、筋肉質な腕、焼けた肌、低くなった声、内股なのを恥ずかしがるところ、照れると耳が赤くなるところ、率先して人助けをし、自分に得がなくても人を優先できるそんな彼、Hのことが
好きだ。私はこの人が好き。
彼への気持ちを認識したところで今日は何をするのかと一言。
彼は少し申し訳なさそうに下を向いて
「フェラして欲しい。」
とはっきりとそう言った。
―――愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛し………
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